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飲食店が行うべき食品ロス対策とは

食品ロス問題とは?


食品ロスとは、本来ならまだ食べることができた食品が廃棄されることを指します。海外でもたびたび話題にされるなど、世界共通の問題として知られています。

日本では2016年度の食品ロスが約643万トン。この量は世界中で飢餓に苦しんでいる人々への食糧援助量(2017年度で年間約380万トン)の1.7倍に相当するといいます。なお、643万トンのうち食品メーカーやコンビニ、飲食店といった事業者から出た食品ロスは352万トンと推計されています。

このように国内で多くの食品を無駄にしていることから、2019年5月31日に国は「食品ロスの削減の推進に関する法律」を公布。同年10月1日に施行しました。この法律は「食品ロス削減推進法」とも呼ばれます。目的は言うまでもなく”食品ロスの削減”です。

これにより中央環境審議会は、事業者が出す食品ロスを2030年度までに273万トンに削減する基本方針を取りまとめました。事業者は、2016年度の352万トンより2割ほど食品ロスを減らすことが求められます。今後、食品リサイクル法の基本方針、持続可能な開発目標などを踏まえて、各事業者に対して具体的な削減目標が設定されるようです。

現在は食品リサイクル法に基づいた「食品廃棄物などの発生抑制目標」が事業者ごと設けられています。事業者はこの目標値を下回るように食品廃棄量を減らす努力をしなければなりません。以下、発生抑制目標の一例です。

居酒屋、麺類を中心としない食堂・レストラン 114kg/百万円
麺類を中心とする食堂・レストラン 170kg/百万円
喫茶店、ファーストフード店、その他の飲食店 83.3kg/百万円

※売上高百万円当たりの食品廃棄物などの発生量

各社の取り組みについて


前項の通り、国が食品ロス問題の対策強化を進めるなか、飲食サービスを提供する一部の事業者や自治体は、すでに食品廃棄量を削減するための取り組みを始めています。

「びっくりドンキー」を展開する株式会社アレフは、子ども向けの完食応援イベントを実施。完食できたら表彰状をプレゼントし、残さず食べる喜びを知ってもらうことで、食べ残し削減を目指しています。また、愛知県にある「ホテルナゴヤキャッスル」は、残ったパンをチョコラスクやフレンチトーストとして再提供する取り組みをおこなっています。

自治体では東京都渋谷区が、食品ロスに取り組む飲食店を「シブラン三ツ星レストラン」として認証。認証された店舗は、渋谷区にその取り組みをPRしてもらうことができます。このように官民一体となって食品ロス問題に取り組む事業者、自治体は今後も増えていくことが予想されます。

飲食店で取り組める食品ロス対策


食品ロスを引き起こす主な要因は、売れ残りや期限切れ、食べ残しなどです。よって食品の廃棄量を削減するためには、これらの要因を対策していくことが重要になります。

では、具体的にどのように対策していけばいいのでしょうか。以下、飲食店で取り組める食品ロス対策をまとめました。食品の廃棄量を削減しようとしている飲食店経営者はぜひ参考にしてください。

食品を再利用する

さきほどの例でも取り上げましたが、余った食品の再利用は効果的な食品ロス対策となります。食品がそのままの状態で残りやすいブッフェスタイルの飲食店は前向きに検討してみてください。ただし、食べ残しの再利用はしないようにしましょう。

作り置きを抑える

飲食店のなかには素早く料理を提供するために作り置きをしているところもあるでしょう。しかしこれは食品の廃棄量を増やすリスクがあるものです。食品ロス対策に取り組むのなら、なるべく作り置きを控えることをおすすめします。
とはいえ、注文される前に料理を作っておくことは飲食店運営を効率的にしてくれるものでもあります。そのためまずは、作り置きの割合を減らすことを目指すとよいでしょう。オーダー後に素早く料理の提供ができるオペレーションを構築すれば作り置きを抑えられ、食品廃棄量の削減を実現しやすくなります。

過剰仕入れに注意する

過剰仕入れは、食品を消費期限内に処理できないリスクを高めます。消費期限が切れた食品は廃棄するしかないので結果、食品ロスを促すことにつながります。仕入れのバランスを調整するのは難しいことですが、できる限り余分に仕入れないように注意することが大切です。

月毎の食品ロスを把握する

毎月どれくらいの食品を廃棄したか数値でチェックすることも、食品ロス対策でおすすめです。廃棄量を数値で把握できれば、その月の食品ロスが多かったかどうかがわかり、必要に応じて改善に取り組めます。それが食品ロスを削減できることにつながります。

食品ロス対策で注目されているフードシェアリングサービス


また最近では「フードシェアリング」というサービスも注目を集めています。

これは廃棄する食品を削減したいという飲食店と、その食品を求める一般ユーザーをつなげるWebサービスです。いくら飲食店が企業努力をしても、食品ロスは起きてしまうもの。そんなとき、飲食店側が食品の引き取り手を見つけられるのが、このフードシェアリングサービスの魅力です。

フードシェアリングサービスは大きくわけて「店舗訪問型」「ネット通販型」に分かれます。店舗訪問型はユーザーに直接、店舗を訪問してもらい食品を渡すスタイルです。「tabete」や「ReduceGO」がこれに含まれます。また、ネット通販型はネットで商品の購入まで完結できるスタイルです。このタイプでは「Otameshi」や「KURADASHI.jp」が知られています。

店舗訪問型とネット通販型にはそれぞれ特徴があります。フードシェアリングサービスを取り入れる際は自社に適したほうを選ぶことをおすすめします。


今後、飲食店にとって食品ロス問題は必須の課題になってくると考えられます。今から対策に取り組んでおけば、国から具体的な削減目標を設定されても慌てることなく、スムーズに対処することができます。飲食店経営者は、ぜひ今回ご紹介したことを参考にしながら、食品ロス対策に取り組んでいきましょう。

【参考】

https://www.inshokuten.com/foodist/article/5341/
食品ロス削減推進法が成立。飲食店は30年度までに「食品ロス2割削減」が求められる

https://www.inshokuten.com/foodist/article/4592/
飲食店の食品ロス削減に新たな一手。「フードシェアサービス」に消費者も強い関心示す

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/promote/
食品ロスの削減の推進に関する法律

https://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/kankyoi/191011.html
飲食店等の食品ロス削減のための好事例集(第二版)の公表について

https://food-sharing.com/matome
おすすめフードシェアリングサービス比較まとめ

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