人手不足に悩んでいませんか?
あるいは、人手不足になる前に対策を講じたいと考えていませんか?
現在、多くの飲食店が人手不足に直面しており、サービスの質や売上にとどまらず、お店の存続にも影響を与える深刻な問題となっています。そこでこの記事では、飲食店における人手不足の現状から理由、対策までを詳しく解説します。
お店が人手不足に陥らないようにするためのヒントやアイデアを得ることができますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
飲食店における人手不足の現状
現在の飲食業界では、人手不足に悩むお店が多いようです。
厚生労働省の調査によると、2023年4月時点での飲食業におけるパートを除く常用有効求人倍率は、飲食物料理従事者が2.47倍、接客・給仕職業従事者が2.28倍となっており、全職業の平均(1.18倍)を大きく上回っています。
また、帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2023年4月)」で明らかになった飲食業の人手不足割合は、正社員で61.3%、非正社員では85.2%です。これは、全業種の平均が、正社員で51.4%、非正社員で30.7%であることを踏まえると、特に非正社員で人手不足感が深刻であることがうかがえます。
いずれも、ここ数年で増加傾向が続いているため、この先、人手不足が解消される見込みは期待できないといえるでしょう。
人手不足は、飲食店の経営に大きな影響を与える可能性があります。人材が確保できなければ、営業時間の短縮や休業日の増加、メニュー縮小などの対応をしなければならなくなり、これらにより売上や利益の減少につながります。
また十分な人数がいないことで、働くスタッフの負担やストレスが増え、離職率や欠勤率を高めることにもなりかねません。つまり、人手不足がさらなる人手不足を引き起こす原因となるということです。
人手不足の理由と背景
飲食店の人手不足は、さまざまな要因が複雑に絡み合うことで起こっています。
ここでは、主な理由と背景を4つに分類して紹介します。それぞれの理由と背景を理解することで、人手不足の問題を根本的に解決するためのヒントが見つかるかもしれません。
賃金と労働条件の問題
飲食店の人手不足の要因として、賃金と労働条件の問題が挙げられるでしょう。
飲食業界は、他の業界に比べて低賃金で長時間労働であり、働く人にとって魅力が低い、というイメージが定着しつつあります。実際に、厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、飲食サービス業の平均給与は279,400円であり、全産業の平均である340,100円よりも低いことがわかります。また、飲食サービス業の平均労働時間が月に182時間であるのに対し、全産業の平均は177時間です。
このような賃金と労働条件の問題は、飲食店で働く人の離職率を高めるだけでなく、新たな人材を採用することも困難にしています。飲食店の経営を続けていくには、賃金と労働条件を改善することで、人手不足の問題に対処する必要があるでしょう。
働き方の変化
飲食業界における人手不足のもう一つの理由は、働き方の変化です。
近年、労働市場では、正社員やアルバイトだけでなく、フリーランスや副業など、多様な働き方が広がっています。個人のライフスタイルや価値観に合わせて自由に働きたいというニーズが増えているとみられ、それにより飲食店の人材確保が難しくなっているといえるでしょう。というのも、飲食店はシフト制であることが多く、自分の都合で自由に働くことができないのが一般的だからです。
このように、働き方の変化も飲食店の人手不足に大きな影響を与えています。飲食店は、この変化に対応するために、柔軟なシフト制度など、新しい働き方を提供する必要があるでしょう。
スタッフ教育と将来性の課題
不十分なスタッフ教育と飲食業を続けることへの不安も、飲食業を人手不足に陥らせている原因といえるでしょう。
飲食業界では、教育・研修体制が十分に整っていないことが多く、スタッフの技能や知識の向上を本人任せにすることが少なくありません。そのため、自分の力で向上できない人には、成長する満足感が得られません。また、将来のビジョンを持つことが難しくなり、スタッフのモチベーションを低下させる要因にもなっています。このような状況では、スタッフの離職率が上がり、人手不足に拍車をかけることになります。
スタッフ教育の体制を整え、将来の方向性を明確にすることで、スタッフの技術や知識を向上させるだけでなく、モチベーションや満足度も高めることが可能です。これにより、スタッフの定着率を上げることができ、人手不足の解消につながるでしょう。
コロナの影響
飲食業界における人手不足の理由と背景として、新型コロナウイルスの影響も外せません。
コロナ禍によって営業の見合わせや縮小をしたお店では、退職によりスタッフが少なくなったところも少なくありません。その後、通常の営業ができるようになっても、客足が戻らないために、給与や時給を上げて積極的に採用を進めることが難しいというところもあるようです。
また、多くの人に接することが一般的な飲食業では、新型コロナウイルスへの感染リスクが依然高いため、飲食店で働くことに消極的な人も多いとみられます。
このように新型コロナウイルスの影響も、飲食店の人手不足を悪化させる要因といえるでしょう。
人手不足の解消策
飲食店の人手不足を解消するには、どのような対策が必要でしょうか?
ここでは、人手不足の解消策として、4つのポイントを紹介します。これらのポイントを実践することで、人材の確保や離職率の低下が可能となるでしょう。
雇用条件の改善
飲食店の人手不足の要因として、賃金と労働条件の問題があるとお伝えしました。そこで、人手不足を解消するためには、まずは賃金と労働条件の改善が必要です。
賃金を上げることは、採用しやすくするだけでなく、既存スタッフのモチベーションや満足度を高めるので、定着率の向上にも効果的です。また、労働時間や休日などの労働環境を改善することでも、採用をしやすくし、定着率を上げられるでしょう。さらには、スタッフの健康や生活だけでなく、仕事の質やサービスレベルにも好影響を与えます。
賃金と労働条件の改善は、人手不足解消のため一番に考えるべき対策といえるでしょう。
働き方の柔軟化
働き方を柔軟にすることも、人手不足解消に有効な手段です。
働く曜日や時間などの自由度を上げることで、特に、子育て中の女性や高齢者など、これまでは飲食店で働くことが難しかった人たちの採用の幅を広げることができます。他にも、個人のライフスタイルや価値観に合わせて自由に働きたいというニーズを持った人にも、飲食店で働く機会を提供できます。
一気に変えることは難しいでしょうが、現在のスタッフの理解と協力を得ながら、少しずつ進めるとよいでしょう。
スタッフ教育を強化
人手不足を解決するためには、スタッフ教育を強化することも重要です。
教育によりスタッフの技術や知識を高めることで、モチベーションや満足度が向上し、離職率を低下させることができます。この時大切なことは、教育の目的を明確にすることと、各人に合った方法で教育を行うことです。また、成長に対して適切な評価をするのと同時に、将来のビジョンを描かせることも忘れないようにしましょう。
このように、教育に力を入れることで、スタッフの働く意欲を高め、働き続けたいと思ってもらうことができます。
求人アプローチの変更
求人する際のアプローチを変えることも、人材を確保するのに役立つでしょう。
変更の仕方は様々ありますが、代表的なものには以下のような方法があります。
ターゲット層を広げる
これまで対象としていなかった、主婦やシニア層などにターゲットを広げることで採用をしやすくなります。もちろん、そのためには先述したように働き方を柔軟にする必要があります。それができれば、働きたくても働けないという悩みを持った人のニーズに応えられ、人材確保が容易になるでしょう。
採用チャネルを多様化する
一般的な飲食店が求人する際に用いるのが、求人サイトや求人誌、店頭への貼り紙あたりかと思いますが、他の方法を増やすことで、採用の機会も多くできます。例えば、SNSは最も取り入れやすい方法の一つでしょう。他にも、お客様に紹介を依頼するといったことも可能です。様々な方法を使い、より多くの人にアプローチすることで、確実に採用のチャンスが多くなります。
価値観の共有を図る
飲食店が求人する際には、「労働内容」や「労働条件」の提示が中心になってしまいがちです。しかし、働き先を探している人の中には、これらよりも「お店の価値観」を重視する人もいるでしょう。例えば、「お客様が楽しい時間を過ごせるお店かどうかが大切」という具合です。このような価値観を共有することで、お店に魅力を感じてもらうことができるでしょう。
省力化への対策
前章では、人手不足をどのような方法で解消するかをお話してきましたが、これから先、人手の確保はより難しくなっていくことが考えられます。そこで、人手が少なく済むよう、省力化を進めることも必要となるでしょう。
ここでは、その方法をご紹介します。
デジタルツールの活用
すでに、何らかのデジタルツールを使っていると思いますが、これからさらにデジタルツールの必要性は高まることでしょう。
現時点で、効果が高く、優先的に採用を検討すべきツールとして次の2つがあります。
予約システム
予約システムを導入することで、忙しい時間に予約受付する時間を省けますので、少人数での営業をしやすくなります。他にも、空席状況の把握や顧客管理も簡単になるため、予約に関する全体的な手間を減らすことが可能です。
オーダーシステム
オーダーシステムとは、テーブルやカウンターに設置したタブレットや、お客様のスマートフォンから注文を受け付けることができるようにするものです。これにより、注文にかかっていた時間を減らせます。また、オーダーミスやそのフォローのための手間も少なくなり、スタッフの負担を軽減できます。
デジタルツールは、飲食店の業務効率化にはもはや欠かせないものといえるでしょう。デジタルツールを適切に活用することで、飲食店は人手不足の問題に対応し、競争力を高めることができます。
キッチン機器の最新化
人手不足に対応できるよう飲食店が省力化を進めるには、キッチンの効率化も欠かせません。キッチンの効率化とは、調理時間や手間を減らし、スタッフの技量にかかわらず商品の品質や安全性を向上させることです。
キッチンの効率化には最新の機器を導入することが有効であり、代表的なものとして以下のものを紹介します。
スチームコンベクションオーブン
「焼く」「茹でる」「煮る」などの料理が自動でできる調理機器です。ボタン一つで調理が完了するので、調理スタッフの少人数化や調理時間の短縮など、省力化に対して大きな効果が見込めます。
オートリフトフライヤー
あらかじめ設定した時間で自動的に材料を入れたカゴが上がるため、揚げ物にかかる手間を減らせます。経験のないスタッフでも安定した品質の商品を作れるため、調理スタッフの数を少なくすることが可能です。
食器洗浄機
キッチン省力化のための機器といえば、この食器洗浄機が定番といえるでしょう。手洗いと比べて、3~5倍のスピードアップになるとされていますので、短縮した時間を他の作業に向けることができます。
最新の調理機器を導入することでキッチンの効率化を図ることができますので、人手不足対策として最新の調理機器を検討してみてください。
飲食店における人手不足は、業界全体に深刻な影響を及ぼしています。
人手不足の理由と背景には、賃金や労働条件、働き方の変化、スタッフ教育などがあり、問題の解決策としては、雇用条件の改善や教育の強化、働き方の柔軟化などが考えられます。
また一方で、人手不足が常態化することに備えて、省力化を進めていかなければなりません。その方法としては、デジタルツールの活用やキッチン機器の最新化などが有効です。
これらの対策を取り入れることで、人手不足の問題を克服し、持続可能な経営を目指してください。