スタンプカードとは、お客様が一定回数来店すると、無料や割引などの特典を受けられるカードのことです。かつては、飲食店でも多くが導入していたかと思いますが、近年では見かける機会が少なくなったように感じるのではないでしょうか。

では、スタンプカードは集客などの効果がなくなったのかというとそうではなく、やり方次第では今でも集客・売上アップの対策として有効です。

そこで、この記事では、スタンプカードのメリット・デメリットや始め方などを解説し、さらに、スタンプカードで集客を成功させるコツをお伝えします。ぜひ、この記事を参考にして、スタンプカードを活用してみてください。

スタンプカードとは？

スタンプカードとは、飲食店がお客様に提供するサービスです。来店回数や利用金額に応じて、お客様が持つカードにスタンプを押し、決められた個数が貯まると特典を与えます。主な目的は、お客様のリピートを促すことです。

ポイントカードは利用金額に応じてポイントが貯まるのに対し、スタンプカードは来店ごとに1個、または、利用金額いくらにつき1個、という具合にスタンプが貯まります。一般的に、スタンプカードのほうが運用面でシンプルなのが特徴です。

スタンプカードのメリット

スタンプカードは、飲食店の集客・売上アップに効果的と述べましたが、いったいどのようなメリットがあるのでしょうか？

この章では、スタンプカードを導入することで得られる3つのメリットを紹介します。

リピーターを増やせる

スタンプカードの最大のメリットは、リピーターを増やせることです。

スタンプを貯めて特典を受け取るというゲーム性やスタンプが増えていく達成感が、お客様に次回の来店を促すからです。また、スタンプカードを持っていることにお店を思い出させる効果があるため、忘れられることを防ぐことにもつながっています。

こうして、お客様が何度も来店してくれることで、売上も向上していきます。

リピート率を高められる

次に、リピート率を高められるというメリットがあります。つまり、お客様がより頻繁に通ってくれるようになるということです。

一般的に、リピーターといわれるお客様でも他の飲食店にも行くものですが、スタンプカードがあることで、他のお店に行く回数を減らして自分のお店に来てもらえるようにできます。

こうして、お店に多く通うことで愛着を持つようになれば、お客様の流出を防ぎ、売上を安定させることが可能です。

客単価を上げられる

最後に、客単価を上げられるというメリットについてお話しします。

これは、利用金額に応じてスタンプの数が増える場合の話ですが、お客様はスタンプを貯めるために、より多くの商品を注文しようとする傾向があります。例えば、もらえるスタンプの数を増やすために飲み物やデザートを追加するということです。

スタンプカードでお客様の消費意欲を高められれば、客単価と一緒に売上を上げる効果が期待できます。

スタンプカードのデメリット

スタンプカードは、飲食店の集客・売上アップに効果的なツールである反面、デメリットも存在します。スタンプカードのデメリットを知ることで、失敗を避けることができますし、メリットを最大限に活かすこともできます。

この章では、スタンプカードのデメリットについて解説していきます。

費用がかかる

スタンプカードを導入するには、費用がかかります。

まず、スタンプカード自体の制作費用が必要です。アナログのスタンプカードの場合は、印刷のコストなどが発生します。デジタルの場合は、アプリの運用費用や、システムの開発をすれば、開発費用が発生します。

また、特典の提供もコストになります。当然、より魅力的な特典にしようと思えば、高額になっていくでしょう。

スタンプカードを導入する際は、費用対効果をしっかりと考える必要があります。

手間がかかる

他にも、手間がかかるという点が挙げられます。

アナログのスタンプカードを運用するには、カードやスタンプを用意したり、管理したりする必要があります。また、お客様にカードを渡したり、スタンプを押したりする作業も、忙しい時間帯には負担になるかもしれません。

デジタルの場合も、アプリやシステムの導入やお客様への対応などで、アナログと同じように手間は必要となります。

これらの手間も、飲食店の経営にとって、無視できないコストといえるでしょう。

スタンプカードの始め方

スタンプカードを導入する際は、主に2つのことを決めることになります。

この章では、これら2つについてお伝えします。

アナログかデジタルかを決める

スタンプカードを始めるにあたって、まず決めなければならないのが、アナログかデジタルかということです。どちらにもメリットとデメリットがありますので、自分の店の特徴やお客様のニーズに合わせて選ぶことが大切です。

スタンプカードを効果的に活用するためには、この選択が重要ですので、ぜひ参考にしてください。

アナログのメリット・デメリット

アナログとは、紙やプラスチックなどのカードに、スタンプやシールを押す方法です。メリット・デメリットについては以下のとおりです。

アナログのメリット
・お店にもお客様にも手軽で分かりやすい
・スタンプやシールのデザインで印象を与えられる
・目につきやすいのでお店を忘れにくくさせられる

アナログのデメリット
・お店もお客様も手間がかかる
・紛失や破損が起こりやすい
・不正利用が起こりやすい

デジタルのメリット・デメリット

デジタルのスタンプカードは、スマートフォンやタブレットなどのデバイスで管理できるスタンプカードです。メリット・デメリットについては以下のとおりです。

デジタルのメリット
・物理的な管理がほぼ不要
・比較的手間が少ない
・データを収集しやすい

デジタルのデメリット
・機器の故障などで使えなくなる可能性がある
・デジタル端末に不慣れな方にはハードルが高い
・デジタル端末を持っていなければ利用できない

特典を決める

スタンプカードの特典は、お客様が再来店したくなるようなものにする必要があります。特典の内容は、お店のコンセプトやターゲットに合わせて考えましょう。

例えば、カフェなら、ドリンクやスイーツの無料サービスなどが考えられます。居酒屋であれば刺身の盛り合わせといったところが一般的でしょう。

他にも、スタンプいくつで特典をプレゼントするのかも重要です。ゴールまで遠すぎるとお客様が挫折してしまうかもしれません。逆に近すぎるとお店の利益に影響するかもしれません。適切なバランスを見つけることが大切です。

このことについては、成功させるコツとして後述します。

スタンプカードの集客を成功させるコツ

スタンプカードは、お客様に繰り返し来店してもらうための有効な手段ですが、ただ配るだけでは効果が出ません。

スタンプカードの集客を成功させるには、いくつかのコツがあります。ここでは、そのコツを3つご紹介します。

早めに3回来店してもらえるようにする

スタンプカードの集客効果を高めるには、お客様に早めに3回来店してもらうことが重要です。なぜなら、3回来店したお客様はお店への親近感が高まり、その後も来店し続ける確率が高くなるからです。

では、どうすれば早めに3回来店してもらえるでしょうか？そのコツは、スタンプの押し方にあります。

例えば、スタンプ5個で特典がもらえる設定にしている場合には、初回来店時に「初回来店なので特別にサービスします」といって、スタンプを3個押すのです。

すると、サービスに対する見返りとして、早めに次の来店をしてくれる可能性が高まります。

次に来店してくれた時には、1個押すだけでスタンプの合計は4個です。すると、あと1個で特典がもらえると思うと、次に来ずにはいられなくなります。

こうして、3回目の来店で特典を受け取れば、お客様は満足感や達成感を感じることになります。これに、先ほど説明した親近感も加わることで、その後もリピートし続けてもらえることになるでしょう。

特典を魅力的にする

スタンプカードの特典は、お客様が欲しくなるようなものでなければ意味がありません。

特典を魅力的にするには、以下の3つのポイントに注意しましょう。

・無料や割引ではなく、プレミアムなものにする
・お店のコンセプトやメニューに合わせる
・期間限定や数量限定にする

例えば、カフェであれば、無料のドリンクやデザートではなく、オリジナルのマグカップやトートバッグをプレゼントするというような特典です。これなら、お客様は特別なものを手に入れたと感じて、喜んでくれるはずです。ただし、毎回この特典にするのはコスト的に厳しいと思いますので、初回のみとするとよいでしょう。

また、お店のコンセプトやメニューに合わせた特典も効果的です。例えば、イタリアンレストランであれば、オリーブオイルやチーズなどの食材をプレゼントするというような特典です。これなら、お客様はお店の味を自宅でも楽しめると思って、興味を持ってくれるでしょう。

さらに、期間限定や数量限定の特典もおすすめです。例えば、季節限定のメニューや限定数のグッズをプレゼントするというような特典です。これなら、お客様は今しか手に入らないと思って、急いで来店してくれるでしょう。

以上のように、特典を魅力的にすることで、スタンプカードの集客効果を高めることができます。

お客様への周知、推奨を徹底する

せっかくのスタンプカードも、お客様に利用してもらわなければ効果を上げられません。そのためには、お客様にメリットがあることをしっかり伝えることが大切です。

例えば、メールやLINEなどで、スタンプカードをやっていることや魅力的な特典があることなどを小まめにお知らせしてください。また、スタンプを辞退するお客様に対しても、お客様のお得になることを伝えておすすめしましょう。

スタンプカードは単なる割引券ではなく、お店とお客様との関係性を深めるツールという側面もあります。スタンプの付与や特典の引き渡しの際に生まれるコミュニケーションが、お店に愛着を持ってもらうチャンスとなります。その機会を増やすためにも、積極的に活用していきましょう。

今回は、飲食店の集客にスタンプカードが有効な手段であることをお伝えしました。
スタンプカードのメリットは、リピーターを増やし、リピート率を高め、客単価を上げられることであり、デメリットは、費用や手間がかかることでした。
また、アナログとデジタルのどちらを選ぶかで、さらにメリット・デメリットが変わりますので、特典とあわせて、スタンプカードを始める際には気を付けてください。
スタンプカードの集客を成功させるコツは、早めに3回来店してもらえるようにすること、特典を魅力的にすること、お客様に利用を促すことです。
すっかりオーソドックスな集客法となっているスタンプカードですが、上手に活用することでお店の売上をアップさせましょう。