飲食店を長く続けていれば、いつかやらなければならないのが店舗の改装です。
外観や内装などが劣化すればお客様へのイメージが下がりますし、設備や機器類が古くなれば故障により営業できなくなるリスクが増えてしまいます。
しかし、どんなメリットがあるのか、どのタイミングで行うのか、業者を選ぶときの注意点など、改装に関する情報は不足しがちです。
そこで本記事では、飲食店の店舗改装を成功させるポイントを解説します。ぜひ最後まで読んで、成功する店舗改装を目指してください。
飲食店の改装とは?
飲食店の改装とは、お客様や従業員にとって魅力的なお店にするために、内装や外装、設備などをリニューアルすることです。
小規模なものから、大規模なものまで様々ですが、大まかに以下の項目に分かれます。
張り替え・塗り替え
店内の壁紙・床の張り替えや、外壁の塗り替えなどです。
店舗の見た目を大きく変えるものなので、かなりのイメージチェンジが可能となります。それだけに、色や柄の選択が重要です。
お店のイメージとのズレが生じないように気をつけてください。
レイアウト・動線変更
客席や設備などの配置を変えるものです。
見た目ももちろんですが、お客様の過ごしやすさや従業員の動きやすさに関係します。ですから、お客様と従業員の双方の立場になってシミュレーションした上で、変更内容を決める必要があります。
「落ち着かない」や「作業しづらい」といったことにならないように注意しましょう。
設備の導入・入れ替え
新しい調理機材を導入したり古いエアコンを入れ替えたりするものです。
これにより、従業員の作業効率が上がったり、お客様の満足度を向上させたりすることができます。
これら設備関係は突然壊れることがあり、最悪の場合には営業ができなくなりますので、普段のメンテナンスをする際に導入や入れ替えのタイミングを見極めるようにしてください。
フルリニューアル
先ほど説明した改装を一度にやってしまうのがフルリニューアルです。
どんなお店でも長く営業をしていると、お客様は見慣れてしまい興味が薄れていくものです。フルリニューアルは、そのようなお客様に大きなインパクトを与えられます。もちろん、従業員にとっても気持ちを新たにする良い機会となるでしょう。
ただし、現在の雰囲気が気に入っているお客様にはマイナスとなることも考えられますので、改装する程度は慎重に検討してください。
飲食店が改装するメリット・デメリット
改装をするのが本当に良いのか、これらのメリットとデメリットを比較した上で決めていきましょう。
メリット
改装することで得られる効果について見ていきましょう。
来客が増える
店舗の外観をリニューアルすれば、これまで来店したことがない人の関心を引くことができ新規来店につなげやすくなります。
内装を変更することで、リピーターの人や足が遠のいていたお客様に、新たな来店動機を与えられるでしょう。設備の導入により、より良いものを提供できるようになれば、新規・リピーターを問わず、集客に利用できます。
従業員の作業効率やモチベーションが上がる
設備の導入やレイアウト変更が作業効率の向上になることがあります。
生産性が良くなれば、売上や従業員の満足度にも貢献するでしょう。もちろん、従業員のモチベーションが上がることも、大きなメリットの一つです。
デメリット
残念ながら、改装はメリットばかりではありません。以下に挙げるマイナス面も理解しておいてください。
金銭的な負担になる
当然ですが、改装のための費用がかかります。改装の規模によりますが、ある程度の出費が必要となるでしょう。
また、改装により休業する場合は、その間の売上がなくなります。支払いが発生するだけでなく、収入がなくなる点にも注意が必要です。
動線が悪くなる
レイアウト変更や設備の導入をしたことにより、かえって動線が悪くなることがあります。
事前に頭の中でシミュレーションした時には問題なくても、改装してみると想像と違うこともありえます。他人の意見も聞きながら、様々な角度から検討することで防げるでしょう。
改装するタイミング
内外装も、設備や機器類も、補修や入れ替えの目安は10年です。
塗装や壁紙の劣化は清潔感がなくなり、お客様の飽きも出てきますので、適当な時期に改修するのがよいでしょう。
設備や機器類の不調は営業そのものに影響が出る可能性があります。ですから、故障する前に入れ替えをするのがよいでしょう。
小規模な改装であれば、営業を休まなくても行うことができますが、大規模なものは休業が必要となります。
休業が必要な場合には、複数の内容の改装をまとめて行ない、休業日数を減らすようにしてください。
また、規模にもよりますが、計画は2、3か月くらい前から立てるようにしましょう。費用を抑えたうえで、営業への影響も少なくできるよう、しっかりと準備をしてください。
改装業者選定時のポイント
業者選定の際には、業者について調べ、過去の実績も考慮することが大切です。
特に重要な「得意なジャンルと実績」と「料金」について説明します。
得意なジャンルと実績
改装を行う業者には、それぞれに得意分野や強みがあります。
それにより、最終的な仕上がりは違ってきます。
あなたのお店が目指す雰囲気にするのが得意な業者を選定しましょう。
参考にしたいデザインのお店があれば、施工した業者を紹介してもらうのがおすすめです。
身近に参考にできるお店がなければ、店舗の内装などを紹介している雑誌がありますので、その中から業者を探すことを推奨します。
実績も大切な判断材料になりますので、過去の施工例は必ず確認するようにしてください。
料金
料金は業者によって異なります。複数の業者に見積りを出してもらい、比較することが必要です。
ただし、料金の低い業者が良いとは限りませんので、得意なジャンルや実績なども考慮して比較検討した上で、最適な業者を決めるようにしましょう。
飲食店の改装を成功させるための留意点
改装により集客や売上を向上させるには、いくつか気に留めておきたいことがあります。
先に明確にしておくことで、お客様だけでなく従業員にとっても良い結果を得られることになる点について説明します。
改良点を明確にする
まずは、お客様や従業員の視点から、内装や設備、動線などで改良すべき点を洗い出しましょう。
この時に大切なのは、すぐに頭に浮かんだ点だけで終わらせないことです。というのも、人は環境に慣れてしまい、不便な点も不便に感じなくなってしまっているからです。
お客様として、また従業員として、初めてこの店に来た人がどう感じるかを想定してみましょう。そこから、どこをどのように改良すれば、皆が心地よく過ごせるのかを言語化してください。
細かなところまで見ていくことが、改装を成功させる鍵となります。
コンセプトを変更する
もしお店のコンセプトを変更したいのであれば、改装時は良い機会となります。
これまで営業してきた間に、提供したいものやターゲットとする客層などで、変えたいのに変えられずにいたものがあれば、改装の際に一新するのもよいでしょう。
普段は、商品価格を上げるのは難しいものですが、改装は良いきっかけとなります。
ただし、これらの変化の幅が大きいと既存のお客様を失う恐れがありますので、どれほど変えるかは慎重に検討してください。
優先順位を決める
明確になった改良点と新しいコンセプトをふまえて、業者に内装と外装のデザインを起こしてもらいます。
この時、費用によってはすべてが希望通りにいくとは限りません。そこで、重視する点から優先的に決めていくことになります。
目につきやすさか、お客様の居心地か、従業員の働きやすさか、目的に沿って優先順位を決めておきましょう。
今回は、飲食店の店舗の改装についてお話ししてまいりました。
改装にもいくつかのパターンがあります。また、大きなメリットがある反面、デメリットもありますので、注意が必要でしょう。このデメリットも考えると後手に回りがちですが、改装しないデメリットもありますので、先手を打つことが重要です。もちろん、業者選びは改装にとって大きな影響がありますので、慎重に選定を進めていきましょう。改装するにあたっては、事前にしっかり決めておいたほうがよいこともありますので、ぜひとも守ってください。
飲食店の経営をしていれば避けては通れないものですが、何度もやることでもないので準備不足のまま行いがちなのが改装です。
十分な知識を用意して、集客・売り上げの向上につながるような改装を行っていただくことをおすすめします。