口コミは、飲食店の新規客獲得に大きな力を発揮します。
口コミといえば、かつては知人におすすめを直接紹介するものでしたが、現代はインターネット上で見知らぬ者同士で行なわれています。しかも、拡散力は直接伝えていた時代とは比べ物にならないほどの大きさです。ですから、口コミを活かせるかどうかは飲食店にとって大きな課題となっています。
そこで、今回はこのインターネット上の口コミに限定して、飲食店にとってなぜ重要なのか、どのように活用すれば集客に効果があるのかについて解説してまいります。
なぜ飲食店にとって、口コミによる集客が重要なのか
まずはインターネット上の口コミについて、改めて効果を見ておきましょう。
口コミを来店の参考にする見込み客が多い
口コミは第三者の意見なので、お店が発信する情報に比べて見込み客の信用度が高いといわれています。
それは、お店からの情報はポジティブなものばかりなのに対して、口コミではネガティブなものも含まれていて、それだけに真実味があると感じられるからです。そうなると、同じ内容であっても、口コミのほうにより大きな価値があると見込み客は感じます。
そのため、多くの人はお店選びの際に口コミを参考にしています。
数を認識しやすく、口コミが多いお店は信頼性が高まる
口コミが見込み客に与える影響は、その内容だけではありません。もちろん内容も重要なのですが、評価点数が同じ2つの店の口コミ数が10と1000では、口コミ数の多いほうが良いお店のように感じませんか。口コミは、ほとんどの媒体で累積される仕組みになっていて、数も直ちに把握しやすくなっています。
口コミの数を多くすることは、お店の信頼性を高めることと言ってよいでしょう。
口コミは拡散力が大きい
口コミが掲載されている媒体により程度は異なりますが、一般的にインターネット上の情報は拡散されやすいものです。場合によってはスマートフォンの画面を数度タップするだけで、オフラインでは不可能な人数に広めることができます。本来、口コミは成果が出るまでに時間がかかるとされています。
しかし、時には想定外の拡散が見込める点が、インターネット上の口コミの魅力となっています。
口コミ集客は費用対効果が高い
基本的に口コミは無料で集められるものです。費用をかけて口コミを集めることもありますが、それであっても一般的な広告と比べると少額で済みます。ですから、無料であれ有料であれ、高い費用対効果を期待できます。
じっくり取り組む価値があるのが口コミ集客です。
集客につながる口コミを集めるポイント
口コミの内容は様々ですが、集客のためには良い内容の口コミを多く集めることが重要です。集客につながる口コミ欄づくりについてお伝えしてまいります。
口コミの質を高くするために心がけること
口コミはお客様の意思で行なうものであり、本来お店側がコントロールできるものではありません。しかし、わずかな働きかけで良い口コミが集まる、コツのようなものもあります。少しの手間と工夫でできることなので、積極的に行なっていきましょう。
口コミへの返信をこまめにする
口コミ投稿ができる媒体のほとんどで、返信もできるようになっています。口コミがあれば、こまめに返信していきましょう。
というのも、お店からの返信がある口コミ欄は人の存在がより感じられ、次の口コミを呼び込む雰囲気が出てくるからです。さらに、お店の人が見ていると思うとネガティブな内容を書きづらくなります。良い口コミを増やし悪い口コミを抑える力を持つのが返信です。
また、口コミの投稿者からすると返信されることでお店をより身近に感じ、また店に行こうという気になります。リピートを呼び込む点でも返信はこまめにするべきでしょう。
口コミがネガティブな内容でも丁寧に対応する
前項で、こまめな返信をすると悪い口コミが投稿されにくいとお伝えしましたが、それでもネガティブな内容が書き込まれることもあるでしょう。その場合、内容に心当たりがあれば真摯に対応しなければなりません。
このときにやってはいけないのが、「無視」と「反論」です。もちろん、内容に誤りがあれば指摘すべきですが、不快な思いをさせたことに対するお詫びの気持ちはしっかりと伝えましょう。
ここで意識すべきは、返信を読むのがこの口コミを書いた人だけではない点です。口コミ欄を見ている他の人も読んでいますので、これらの人にも好印象を持ってもらえる返信を心がけてください。
口コミをしたくなる店作りをする
お店のウリ(売り)をしっかりと出していきましょう。料理はもちろん、ドリンクや内装など様々なものがお店のウリとなります。
さらに料理であれば、おいしさだけでなく、盛り付けの美しさや量の多さ、食材の珍しさなど、ウリにできるところはいろいろです。お客様が口コミしたくなるウリをはっきり打ち出してください。
加えて、大事なのはそれらをしっかり伝えることです。お店の人がわかっていても、お客様が気づかなければ口コミにはつながりませんので、口頭で伝える、メニューに記載しておくなど、様々な手段で伝えていきましょう。
お客様が写真を撮りやすいように協力する
最近の口コミは画像と一緒に投稿されることが多くなっています。
このとき、きれいな画像のほうが見た人に与える印象が良くなるのはおわかりかと思います。ですから、きれいに写真を撮ってもらえるようにお店側も協力するとよいでしょう。
例えば、どの角度から撮ると“映える”のかをお伝えしたり、撮影用に盛り付けを変えたりなどが考えられます。また、協力することでお客様がお店に好印象を抱き、口コミ内容も良くなるかもしれませんので、お客様が撮影するときは何か手助けができないか考えてみてください。
お店の信用を失わないために気をつけること
お店が働きかけることで、より良い口コミを集められるとお伝えしました。
しかし、口コミを集めるためとはいえ、やってはいけないこともあります。やってしまうことで、お店の信用を失うおそれがあることをご紹介します。
口コミ代行業者に依頼しない
世の中には、口コミ投稿の代行をしている業者がいます。良い内容の口コミをたくさん欲しいからといって、これらの業者に依頼するのはやめましょう。
一般的にこれらの業者は実際に来店することなく投稿しますので、文章中に不自然な点が出てしまいます。口コミを読んでいる人は、この不自然さから不正行為が行なわれていることを疑います。すると、この人はお店に不信感を持ち、来店してくれなくなるでしょう。
最悪の場合、この不正行為を理由として、媒体からアカウント停止の処分を下されることもあります。何もメリットもありませんので、言葉巧みに誘われても決して依頼をしないようにしてください。
自分で口コミを投稿しない
口コミ代行業者ではなく、自分や他の従業員が投稿するのは良いのかというと、これも不正行為となります。同じく、文章の不自然さから読んでいる人が違和感を持ち、お店の信用を失うことになりかねませんので、行なわないようにしましょう。
ただし、友人や知人などに書いてもらうことは基本的に許されています。その際は実際にお店で飲食をしてもらい、本人の率直な感想を書いてもらうようにしてください。書く内容をお店から指示すると、不自然さが出てしまい自分たちで書くのと変わらなくなってしまいます。
友人・知人であれば指示をしなくても良いことを書いてくれるでしょうから、書く内容はおまかせすればよいでしょう。
飲食店で使える口コミの集め方3選
良い口コミを集められる環境を整えたとしても、自発的に書いてくれる人はなかなかいないものです。口コミを集めるにはお店の施策も必要ですので、いくつか紹介します。
来店中のお客様にお願いする
シンプルですが、接客中に「口コミ投稿していただけませんか?」とお願いする方法は効果が高いです。
ただし、いくつかポイントがあります。
まず、声掛けするタイミングです。ある程度飲食をして、落ち着いたくらいがよいでしょう。早すぎると、まだ飲食や会話に夢中で、口コミに前向きになってもらえません。また、帰ろうとしている時では、口コミに時間をかけたくないという気持ちになっています。気持ち的にも時間的にも余裕があるときに声掛けをしてください。
次に、声掛けする相手です。お願いするのは、お店を気に入ってくれている人にするのがよいでしょう。お店に満足していれば、投稿依頼に応じてくれやすいですし、書き込みの内容も自然と良いものになるはずです。「口コミを読んだ人のお店選びの参考になるように」と一言付け加えると、お店の良いところをさらに探して、書いてくれるようになるでしょう。
QRコード入りのポップを作る
口コミ投稿ページに遷移するQRコードを入れた、口コミ依頼のポップを作り、テーブルの上に置いたり化粧室の壁に貼ったり、お客様の目に付くようにしておくのも効果的な手段です。
このとき気をつけていただきたいのは、必ずQRコード入りにすることです。サイトの口コミ投稿ページへ到達するのは、慣れている人でも手間と感じます。慣れていない人であれば、到達すること自体ができない場合も考えられます。
ですから、スマートフォンで読み取るだけで口コミ投稿ページに飛べるQRコードは、必須だとお考えください。
SMSでお礼とともに口コミのお願いをする
すべてのお客様に使える手段ではありませんが、予約時に電話番号を聞いたお客様には、退店された後にSMSでお礼の言葉を伝えるとともに口コミのお願いをするのも一つの手法です。
もちろん、すでにお店で投稿してくれた人には必要ありませんが、時間がないなどの理由で口コミを書いていない人には、時間があるときにゆっくりと書いていただけるよう、口コミ投稿ページのリンクURLを記入したお礼を送ってください。
ただし、お客様が不快感をいただかないよう、口コミのお願いばかりが目立つような内容にならないように気をつけましょう。あくまでも来店のお礼をメインで伝えるようにしてください。そして最後に、「もし当店を気に入っていただけましたら、その気持ちを他の方に共有していただけないでしょうか」と入れる程度に抑えておきましょう。
かつては人から人へと直接伝わっていた口コミですが、インターネットの時代である現在はその様相が変わってしまいました。もちろん、集客に及ぼす影響もかつてとは異なっています。
そんな現代の口コミを、いかに集客につなげるかを中心に今回はお伝えしました。成果が出るまでのスピードは遅いけれども、集客力は強く、また費用対効果も高いこの口コミを、ぜひ効果的に利用していただきたいと思います。