飲食店を開業する際には必要な資格や届出などがあり、知っておくことで速やかに開店準備ができます。
無資格で営業した場合には懲役や罰金といった罰則もありますので、しっかりと押さえておきたいところ。
この記事では飲食店開業に必要な資格やもっておくと役に立つ資格について、解説してまいります。
飲食店を開業するために必要な資格と届出(申請)とは
飲食店を開業する際には、資格の取得や届出などが必要となります。
無許可で始めると食品衛生法や風営法などの違反となり、場合によっては2年以下の懲役または200万円以下の罰金という罰則もあります。
他にも、飲食業を営むのに必須の資格を一定期間得られなくなるなどのデメリットがあります。
申請のハードルは高くないので、しっかりと資格をとってから開業準備をしましょう。
必要な資格
飲食店を開業するために必要な資格は
・食品衛生責任者
・防火管理者(場合によって)
の2つだけです。
それぞれ、基本的には所定の講習を受けるだけなので、事前の取得を目指しましょう。
食品衛生責任者
この資格がなければ食品営業許可申請ができないため、開業できません。
資格を有する者が一人いればいいので必ずしも自分がとる必要はないのですが、従業員が辞めるなどのリスクを考えると、自分でとっておいたほうがよいでしょう。
特定資格の保有者、所定講習の修了者が資格を得られます。
特定資格の保有者
代表的なものを挙げます。
・調理師
・製菓衛生士
・栄養士
・食品衛生管理者又は食品衛生監視員の資格要件を満たす者
・他の都道府県で講習会を受講、所定の科目を修了した者
所定講習の修了者
特定資格の保有者以外は、講習を受講しなければなりません。
講習会は6時間程度、1日で終わり、同日に修了証書を受け取れます。受講料はおおむね一万円程度。
基本的には他都道府県で取得した資格でも有効ですが、東京都などでは原則として6時間以上の受講が条件なので、6時間未満の受講で得た修了証では無効となる場合があります。
基本的に有効期限はありませんが、定期的に実務講習を受けないといけない地域もあります。
各自治体で違いがありますので、申し込み前に主催する地域の協会などに確認しておきましょう。
まとめますと
・費用は一万円前後
・各自治体ごとに主催、他都道府県の修了証も有効
・講習は全部で6時間程度、一日で修了証受け取りまで終わる
・基本的に有効期限はない
繰り返しになりますが、各自治体による違いがありますので該当する地域の協会などにご確認ください。
[参考]食品衛生責任者養成講習会
防火管理者
防火管理者とは、防火や消火に必要な知識と技能を持ち、消防計画や避難訓練などを作成・監督する役割を持ちます。
消防法の定めにより30人以上収容できる飲食店では、防火管理者を一人は置かなければなりません。
さらに店舗の規模によって、必要な資格は甲種と乙種の2種類に分かれます。
目安は延床面積で、300㎡以上かそれ未満かです。
防火管理者講習の修了が資格取得の要件です。
ただし、資格の要・不要などに関しては、念のため管轄の消防本部・消防署に確認しましょう。
防火管理者の種別
・甲種防火管理者(300㎡以上)
収容可能な人数が30人以上で、かつ延床面積が300㎡以上の建物で必要。
甲種を持っていれば、ほとんどの建物で防火管理者となれます。
・乙種防火管理者(300㎡未満)
収容可能な人数が30人以上で、かつ延床面積が300㎡以下の建物で必要。
乙種の資格を持っていても、大きな店舗に変わったりした場合、改めて甲種の講習を受けて取りなおさなければなりません。
講習の内容や費用
甲種は2日間で合計10時間程度、乙種は1日間で合計5時間程度の講習となります。
費用は、甲種が3,000~8,000円ほど、乙種が3,000~7,000円ほどです。
ただし、各自治体などで異なりますので、詳細は受講する自治体や協会にご確認ください。
また、防火管理上必要な知識と技能を持っていると認められる人であれば、講習を受けなくても防火管理者になれる場合があります。
心当たりがあれば、管轄の消防本部・消防署に問い合わせてみましょう。
[参考]防火・防災管理講習
必要な届出(申請)
飲食店を開業する際には、資格の取得以外に届出や申請といった必要な手続きがあります。
必須となっているのが、保健所への営業許可申請と消防署への各種届出です。
他にも業態や営業時間によって必要となる届出などもあります。
営業停止などの措置を受けることもありますので、開業前に管轄の保健所や所轄の消防署・警察署などに、必ず詳細の確認をしましょう。
必要な届出などについては、こちらで表にまとめてありますので参考にしてください。
持っていると得する!役に立つ資格4選
お店の強みをアピールできる資格を4つご紹介します。
他にも資格はたくさんありますので、お店のコンセプトに合っていて、知識の補強になる資格がないか探してみましょう。
調理師免許・製菓衛生士・栄養士
この中のいずれかであれば実務に役立つ他、食品衛生責任者の講習も免除されるのでおすすめです。
オーガニック・ヴィーガン料理マスター
健康・美容のためやライフスタイルとして広まっているヴィーガンについての知識が身につく資格です。
ヴィーガン料理は、乳製品やはちみつも含め動物性のものが一切ダメと、相当センシティブです。
このような客層をターゲットにするのであれば、持っておいたほうがいい資格でしょう。
ソムリエ
飲食店での実務経験が必要で、難易度も高めのソムリエは、ワインの専門家として差別化をはかれます。
認定バッジを胸に光らせれば、ワイン好きのお客様から一目置かれることでしょう。
当然、料理をおすすめするのにも役立ちます。
フードコーディネーター
食品の開発や演出など、食関連のプロデュース全般に通じる資格。
運営やマネジメントなども含めた豊富な知識が身につきますので、とっておきたい資格です。
飲食店の開業では必要なことがたくさんあり、つい忘れていたとなりがちです。
しかし、今回挙げた必須の資格がなければ営業許可がとれないので、準備が整っていても開店できなくなってしまいます。定員に達すると締め切られるので、開店が決まればすぐに取得しておきましょう。
他にも、店の付加価値となる資格もありますので、うまく活用していきましょう。
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