SNSでの配信やメニューへの掲載など、飲食店では写真を撮る機会が多いかと思います。
しかし「思ったようにきれいに撮れない」「料理がおいしそうに見えない」といった悩みはないでしょうか?
飲食店にとって写真は、お客さんの来店や注文の意欲を高めたり、SNSなどで口コミ効果を生み出したりする重要なツールです。しかし、ただ写すだけでは、お店や料理の良さが伝わりません。
そこで今回は、お店や料理の写真の撮り方のコツについて解説します。写真の撮り方が重要な理由をお話し、内観撮影、外観撮影、料理撮影の順にお伝えします。
「でも、きちんとしたカメラを持っていないし……」と思いましたか?
ご安心ください。光の使い方や構図、色使いなど、写真の基本的なテクニックをマスターすれば、スマホでもお店や料理が映える写真が撮れるようになります。簡単に活用できるテクニックばかりですので、最後までお読みいただき、集客・売上アップにお役立てください。
飲食店で写真の撮り方が重要な理由
飲食店にとって写真の撮り方が重要な理由は、写真の良し悪しによって集客や売上に大きな影響が出るからです。
写真は、お店の雰囲気や料理の魅力を伝える力が大きいため、見た人の行動を左右することができます。
ここでは、どのような形で効果が出るのかを説明します。
来店や注文の意欲をアップさせる
飲食店の写真をSNSなどで見た人が「いい雰囲気そうなお店」とか「この料理っておいしそう」と思えば、そのお店に行ってみたいと思うでしょう。
また、お店に来たお客様がメニューを見て、食欲を掻き立てる料理の写真を見れば、たくさん注文しようとかまた食べに来ようとか思うはずです。
逆に、写真が暗かったり、ぼやけていたり、色が不自然だったりすると、お客様は興味を失ってしまい、「お店に行きたい」とか「たくさん注文しよう」とは思わなくなってしまいます。
つまり、写真写りによって来店や注文の意欲が変わるということです。
SNSなどでの拡散を促進する
SNSでは、飲食店の投稿が「おいしそう」や「行ってみたい」ということでシェアされることがあります。
その時に、写真がきれいなものであるほど拡散されやすくなります。逆に、写真が魅力的でなければ拡散されにくくなるでしょう。
ですから、お店のことを広めてもらいたいと考えるなら、拡散したくなるような写真を撮ることが重要です。
内観撮影のコツ
店内の写真は、お客様がどんな雰囲気で食事を楽しめるかを伝える重要な要素であるため、お客様の視点を意識して撮影することがポイントです。誰が見ても「ここに行きたい」と思えるような、店内の雰囲気が写真から伝わるよう心がけましょう。
それでは、具体的なコツをお伝えしていきます。
お客さんを迎える状態を伝える
店内の写真は、お客様が店内で過ごすことをイメージできるよう撮影してください。
そのためには、営業中と同じ状況を撮影する必要があります。写真でそれらを伝えることで、お客様は実際にお店へ行った気分になり、お店に対する親近感がわいてきます。
可能であれば、飲食しているお客様の様子も収めるとよいでしょう。そのほうが、よりリアリティを感じてもらえるからです。
一般のお客様を写すことが難しければ、知人に協力してもらうなどして撮影してください。
お客様の視点で写す
営業中の状況がわかるような写真を撮ることと同じく、店内で過ごす時間を想像できるように、お客様が実際に目にする光景を収めるようにしてください。
例えば、カウンター席からキッチンの様子が見えたり、テーブル席から窓の外の景色が望めたりする場合、その視界を写真に撮ることで、お店の雰囲気やロケーションの良さを伝えられます。
また、スタッフが笑顔で迎える姿や作業している様子を収めることで、温かみや仕事ぶりもイメージしてもらえるでしょう。
「ここに行きたい」と思わせる効果を上げるために、お客様の視点を意識して写真撮影をしてみてください。
広角レンズで空間を捉える
内観の写真を撮る際には、広角レンズを活用するのが効果的です。
広角レンズを使うことで、店内全体を一度に写し込むことができ、空間を広く感じさせることができます。スマホのカメラにも、広角撮影が可能なものが多くありますので、これを使えば、手軽に店内の開放感や広がりを演出できるでしょう。
ただし、広角レンズは端が歪みやすいことには注意が必要です。しっかり伝えたいものを中心にするように構図を決めて、周囲に大事なものを入れないようにしてください。
外観撮影のコツ
お店の外観写真は、お店を探しやすくすることやお店のコンセプトが伝わるようにすることが重要です。そうすることで、お店の集客力アップにつながります。
ここでは、店外の写真撮影をする際に心がけたいことを説明します。
入口全景を印象づける
お店の外観の写真では、まず入口の全景をわかりやすく撮影しましょう。お店の入口がどこにあるのか、何を売りにしているお店なのかが一目で分かることが重要です。
正面から入口全体が映るように撮影し、お店の名前やコンセプト、特徴的な外観がアピールできるよう画角にも注意してください。
鮮明な入口の全景写真は、お店の特徴や雰囲気を効果的に訴求できるため、訪れたくなる店外の顔となるよう意識して撮影しましょう。
営業中の状態を知らせる
集客力を高める外観写真のポイントは、実際に営業している時間に撮影することです。
同じお店であっても、撮影する時間が異なるとまったく印象が異なるからです。例えば、ランチの営業をしているのであれば、その時間帯の外観を収め、夜の営業をしているのであれば、暗い中で店の看板を点灯させて撮影する必要があります。
また、撮影する際は、余計なものや汚れが写りこまないようにしましょう。見慣れていると見落としがちなので注意が必要です。
営業時間中の活気が漂っていてきれいな外観を撮影することで、「このお店に行ってみたい」と思わせる写真にしてください。
スマホの位置と写す範囲に注意する
外観を撮影する時、スマホを高く持ち上げたり、低く構えたりすると、実際に見た感じが伝わりにくくなってしまいます。お客様がお店に入る時に見る目線に近づけるよう、スマホの位置は目の高さか、少し下げるくらいが理想です。
また、お店の入口だけでなく、周辺の景色も写しましょう。
目印になるものが移っていればお店を探しやすくなりますし、立地や雰囲気もお客様に伝わりやすくなります。
お客様の視線を想像して、スマホの位置と撮影範囲に工夫しながら、外観撮影をしてください。
料理撮影のコツ
飲食店にとって、料理の魅力を伝える写真は重要です。食欲をそそる写真を撮るためのポイントはいくつかありますが、ここでは大きく3つに絞ってお伝えします。
スマホでも撮影可能なので、料理写真で集客アップを狙いましょう。
光の使い方を意識する
料理の撮り方で最も重要なのが、光の使い方です。当てる角度や光の質で、おいしそうに見えるかどうかが変わってきます。
まずは、どの角度からどんな光を当てればよいかを説明します。
自然光や半逆光でおいしそうに見せる
自然光とは、太陽の光のことです。自然光は色が柔らかく偏りがないため、料理の色や質感を忠実に表現できます。ですから、自然光の入る窓際で撮影するとよいでしょう。
ただし、自然光は時間帯や天候によって色味が変化するので、注意が必要です。
朝や夕方の光はやや黄色く、昼間の光は白く、曇りの日は青く見えます。最適な時間帯や天候を見つけてください。また、何枚も撮る場合は、同じ条件で撮影するようにしましょう。
半逆光とは、光源がカメラの真反対から45度にある状態です。半逆光で撮影すると、反射した光がレンズから入りやすいため料理に輝きが出ます。また、わずかな影もできるので、料理が立体的に見えるようになります。これらにより、料理がよりおいしそうに写るはずです。
とはいえ、光の具合によっては料理の手前が暗くなり過ぎたり、くっきりと影ができたりして、おいしそうに見えなくなることがあります。その場合には、白い紙やアルミフードなどで光を反射させて、料理の手前側を明るくするようにしてください。
補助照明の種類と効果
料理の撮影には自然光が適しているのですが、夜の営業だけのお店では、自然光で撮影した写真を掲載すると不自然に感じられることがあります。その際は、営業中と同じ照明で撮影するほうがよいでしょう。
しかし、営業中の照明では光量が不足して料理が暗く写ってしまい、おいしそうに見えなくなるかもしれません。そう感じた場合には、スポットライトなどで光量を増すなどして、明るくして撮影してください。
ここで気を付けていただきたいのは、店内の照明やスポットライトだと料理に反射した光源が目立ちやすくなってしまうことです。その際には、薄くて白いレジ袋などで光を拡散させて撮影してください。
構図で主役をアピールする
料理の写真を魅力的に見せるためには、構図の工夫も重要です。
構図とは、写真の中にどのように被写体を配置するかということで、いくつかのセオリーがあります。
ここでは、構図について解説します。
対角線、三角形、ルールオブサード
写真の印象に大きく影響する構図ですが、その代表として「対角線」「三角形」「ルールオブサード」を紹介します。
対角線
写真の左下から右上、または右下から左上にかけて引く線に沿って料理を配置すると、写真に動きや奥行きが生まれます。
また、対角線は視線を誘導する効果もあります。複数の料理などを写しつつ、メインを目立たせたいときに有効でしょう。
三角形
写真の中の被写体で三角形を作ることです。三角形は安定感を与える構図であり、複数のものをバランスよく収めるのに向いています。コース料理などで、メインを際立たせながら他の料理もわかるようにする際に使うとよいでしょう。
ルールオブサード
写真を縦・横、それぞれ3分割した時にできる4つの交点に料理を配置する構図です。被写体を中央に置くと単調な写真になりがちですが、交点の近くに置くことで独特のバランスが生まれます。単品でも複数でも使えます。
この線を表示する機能を備えたカメラアプリも多いので、ぜひ活用してください。
以上、3つの構図を紹介しました。これらの構図は基本中の基本ですが、それだけに使える場面が多いので、ぜひ試してみてください。
上からor低い位置からの撮影
料理の見た目を引き立てるには、撮影角度も重要です。
一般的には、斜めから撮ると実際の視点に近くなり、臨場感があるといわれます。対して、上から撮ると食材の色や形がはっきりと見え、より説明的になり、低い位置から撮ると料理のボリュームや高さが感じられるとされます。
どの角度が適しているかは、料理の特徴や何をアピールしたいかで変わってきますので、それらを決めたうえで角度を選んでください。
色使いで魅せる
色使いを写真で上手に見せることで、お客様に料理のおいしさや魅力を伝えることができます。この時に、2つだけポイントを抑えておくとよいでしょう。
それら、色使いのコツをお伝えします。
配色を意識する
料理の写真を魅力的にするには、色を美しく見せることが重要です。その際に、補色をうまく使うとより印象付けられます。
補色とは、色相環の反対側にある色のことで、赤と緑、黄と紫などが補色の例です。これらの組み合わせを料理で使うと、それぞれの色が際立ち、よりおいしそうに見えます。
例えば、緑の葉もの野菜と真っ赤なトマトでサラダを作ると、どちらの色も濃く見えて、味もしっかりしていそうに感じるといった具合です。
カメラの設定で、効果を強くさせることも可能です。多くのカメラアプリには色の補正ができる「フィルター」が用意されています。この中には、色のメリハリを増幅するものもありますので、それを使うとより美しく見せられるでしょう。
色温度に気を付ける
料理写真では、光の色温度にも注意が必要です。
色温度が高いと写真の色が青みがかり、緑の野菜などは鮮度が良さそうに見える反面、写真から冷たい感じがします。逆に、色温度が低いと赤みがかり、料理から温かみを感じる反面、フレッシュ感は失われてしまいます。
そこで、一般的には冷たい料理は高い色温度で撮影するとおいしそうに見え、温かい料理は低い色温度のほうが合うといえるでしょう。
色温度はカメラの「ホワイトバランス」という設定で調整できますし、フィルターにも同じような働きをするものがあります。
料理の種類に応じて色温度を変えることを意識すると、写真で伝えられるおいしさの幅も広がるでしょう。
来店・注文意欲アップやSNSでの口コミ拡散に大きな影響力がある写真は、撮り方でも効果が変わります。また、撮影する際には内観や外観、料理のそれぞれに異なるポイントが存在します。
といっても、ちょっとしたコツさえ覚えてしまえば写真の質が上がり、「この店に行きたい」とか「この料理を食べてみたい」と思われるようになるはずです。
本記事で紹介したノウハウを参考にして写真力を高めて、お店の魅力をより強くアピールし、集客と売上を向上させてください。