雨の日は、多くの飲食店で来店客が減り、売上が落ちてしまうものです。天候は変えられないので仕方がないとはいえ、このままでよいのでしょうか?
日本では、1年のおよそ3分の1が雨の日だといいますが、雨の日の売上が良くなればどれだけ経営は楽になるでしょう。雨の日でもお客様に来てもらうための対策は、探せばいくつかは見つかるものです。
今回は、雨の日に売上が落ちて対策に困っているというお店の方に、飲食店にとっての天敵ともいえる雨の日の対策についてお話していこうと思います。
雨の日でも来たくなる理由を作る
飲食店で雨の日の来店客が減るといっても、動機さえあれば来てくださる方はいるはずです。ここでは、その動機を作って来店を促す対策についてお伝えしてまいります。
雨の日をお得な日にする
雨の日限定のサービスをして、お得だから行こうとお客様に思ってもらう対策です。雨の日というネガティブな条件に負けないだけのお得感があると、効果があります。最も一般的な、金銭的メリットがあるサービスをご紹介します。
料理、飲み物が〇〇%割引
最も馴染みがあり効果も高い対策でしょう。この際、割引率が重要です。割引率が低ければ魅力を感じてもらえませんが、高すぎるとむしろ赤字になることもあります。また、普段の客層と違う安さだけにひかれてくるお客様ばかりになることもあります。普段いらしているお客様から「あの店は、雨の日は雰囲気が違うから行きたくない」と思われないようにしましょう。
ドリンクのおかわり1杯無料
こちらも馴染みがある施策ですが、割引と比べるとインパクトが弱まります。それでも、雨の日のサービスを周囲のお店が何もしていなければ効果は期待できるでしょう。注意点としては、客単価を下げないために2杯目以降をサービスとすることです。
次回使えるクーポンサービス
割引や無料サービスを、次回来店時に受けられるクーポンをお渡しする対策です。雨の日当日に加えてもう1度来てもらえるので、来店回数を増やすのに貢献します。ただし、雨の日当日のメリットはないので、次回来店時のサービス内容を魅力的にしなければ反応してもらえない点に気をつけましょう。
雨の日でも来店してもらえるお店の強みを作る
雨の日といえども、どうしても食べたい料理がある、従業員の人と話したいなどがあれば、お客様は来てくれるものです。ですから、意識的にお店の強みを作りましょう。ただし、料理を強みにするのであれば、お店の看板メニューとして積極的に発信してお客様にしっかりと意識付けをしてください。看板メニューが食べたくて雨の日でも来る、というお客様を増やしていきましょう。
看板メニューを作るには、こちらを参考にしてください。
早めに予約をしてもらう
豪雨や大雪でもなければ、雨の日だからといって予約をキャンセルするお客様は少ないものです。ですから、予約がなじまない業種・業態以外のお店なら、普段から予約を入れてもらえるように対策しておきましょう。
たとえばご来店のお客様に対して、次回ご来店の予定ができたら早めに予約をしてくださいとお願いするのも一つの手です。また、予約特典を作るのもよいでしょう。ホームページやグルメサイトなどにも一言書いておくことで、予約をするほうがよい店なのだとイメージ付けできますので、ぜひ試してみてください。
雨の日だから飲食店を利用するお客様に選ばれるようにする
一般的に雨の日に飲食店に行く人は減るのですが、反対に雨の日だから飲食店に行くという人もいます。たとえば、雨の中を食材の買い出しに行きたくない人や、雨で予定がなくなったので代わりに飲食店に行こうという人などです。この人達を取り込めるように、事前に対策しておきましょう。
雨の日に飲食店に行く人達の傾向として、冒険をしないことがあります。雨で不快なうえさらに不快度を増したくないため、安心感のあるお店を選びます。つまり、行き慣れているお店や雨でも快適に過ごせそうなお店を選ぶということです。ですから、普段からお客様に親しく接し、雨の日でも来やすい仲になっておくとよいでしょう。
他にも、次章で述べる対策をしっかりやって、雨の日にはあの店にしようという安心感を持ってもらえるようにしておきましょう。
雨の日に飲食店に行きたくない理由を消す
雨の日に飲食店に行きたくない理由として挙げられるのが、濡れてしまうことと傘を持つ煩わしさです。雨の日でも来てもらうにはこれらを解消することが必要です。
不快な状態で飲食させない
お客様が雨の日に避けたいのは、体や服が濡れた状態で飲食しなければならない状況です。そこで、以下の対策をとってください。
乾いたタオルを用意する
来店したお客様には、まず乾いたタオルを渡しましょう。体や服、荷物を拭けばお客様の不快度は下がりますので、来店直後に渡せるように用意をしておいてください。
店内の温度管理をする
たとえ乾いたタオルで拭いたとしても、服を完全に乾かすことはできません。服が濡れていると体温を奪われて、普段よりも寒く感じるものです。雨の日は温度設定を高めにして、常にお客様が寒く感じていないか気をつけましょう。
ひざ掛けを用意する
そうはいっても、複数のお客様がいると誰かのためだけに設定温度を高くできないこともあるでしょう。そのときのために、ひざ掛けを用意しておきましょう。ひざ掛けを使って、快適に過ごしてもらってください。
傘に関する心配をなくす
傘の存在もまた、雨の日を不快に感じる理由です。ですから、傘が原因のストレスもお客様に感じさせないように気を配りましょう。
お客様の傘を預かる
傘がなくなることは最も大きなストレスです。大事な傘を盗まれたり取り違えられたりすると嫌な気分になり、雨の鬱陶しさも重なって、お店のことを嫌いにもなりかねません。
ですから、できればお店で傘を預かりお帰りの際にお渡しするようにしましょう。もしくは、一旦お預かりした後、ビニール袋などに入れてお客様にお渡ししてもよいでしょう。
傘をなくす心配がなくなれば、雨の日でも安心なお店だと思ってもらえるようになるはずです。
傘を貸し出す
雨の日に傘を貸し出すと、2つのパターンで集客につながります。
1つ目は、まだ雨は降っていないがいずれ雨が降る予報が出ているときです。傘を持っていないと、普通は飲食店に寄らず早く帰ろうとするでしょうが、お店で傘を借りられることがわかっていればお店に来てくれるかもしれません。
もう1つは、雨が降りだした後、傘を持っていないお客様が傘を借りるために来店してくれる場合です。これだけでも売上につながりますし、返却のために近いうちにまた来店してくれることもあるでしょう。
ただし、これらは事前に知られていなければ効果がありませんので、後述する告知を事前にしておいてください。
雨の日対策を効果的にするには
ここまで雨の日対策をお伝えしてきましたが、これらもただやるだけでは効果が出ません。集客につなげるためには以下のことをやっていきましょう。
お客様にわかりやすくする
雨の日対策は、お客様に知ってもらい、来店する目的にまでしておかなければ効果が出ません。そのためには、わかりやすく伝えることが重要です。
事前に雨の日のサービスを知ってもらう
最初にやるべきは、あなたのお店が雨の日サービスや対策をしていることを、前もってお客様に知っておいてもらうことです。知らせる方法のうち、代表的なものをご紹介しておきます。
店内掲示
メニューに書いておく、店内の壁やトイレ内に貼り出すなど、お客様の目に付きやすいところに案内を出しておきましょう。
店頭掲示
普段の日にも看板に目立つように書いておき、通りがかりの人に雨の日に来るとお得な店、雨の日でも安心できるお店だと気づいてもらえるようにしましょう。
媒体掲示
自店のホームページやグルメサイトといった多くの人が目にする媒体にも、雨の日のサービスがあることや雨の日でも快適に飲食できることをアピールし、印象づけておきましょう。
雨の日のサービスが適用される基準を明確にする
雨の日なのかどうか、微妙な天気のときもあります。雨の日のサービスがお客様の来店する理由となるとしても、その判断ができなければわざわざ出かけようとはなりません。ですから、事前に判断基準を明確にしておき、お客様自身が判断できるようにしておきましょう。
たとえば『気象庁がその日の11時に発表した予報で、12時~18時の降水確率が50%以上であれば雨の日とする』などの客観的な判断基準をお客様が知っていると雨の日の来店につながります。
当日の告知をする
前もって基準を知っていて、雨の日サービスが適用されると思っていても、本当に適用されていることがわからなければ不安でお店に出向く気になれないかもしれません。ですから、雨の日サービスをしていることがわかるようにしましょう。
たとえば、店前の看板に「本日、雨の日サービス実施中」と書くなどして、安心して入店できるようにしましょう。入店してみたら雨の日サービスが適用されていないとなれば、お客様は機嫌を悪くし、それきりお店に来なくなってしまうかもしれませんので、そうならないように気をつけましょう。
もちろん、まだお店に来たことがない人に向けても、サービス内容を具体的に書いて、入店動機となるようにしておきましょう。
加えて、SNSやメールでの配信や、ホームページやグルメサイトに表示するなどして、お客様が店に来なくてもスマートフォンで確認できるようにするとよいでしょう。特にLINEはお客様に情報が届きやすいので、このようなときに最適なツールです。使うのであれば通常のLINEアプリではなく、公式LINEアカウントを導入するのがおすすめです。
公式ラインアカウントについては、こちらを参考にしてください。
従業員がやるべきことを周知する
雨の日対策をしていても従業員に徹底されておらず、人によりサービスが異なっていては、逆にお客様を不快にさせる恐れがあります。逆に良い印象を与えられれば今後の来店にもつながりますので、全従業員でやるべきことをしっかり共有しておきましょう。どのようなお店でも必ずやっていただきたいことをご紹介します。
来店時に感謝の挨拶をする
まずは、雨の日にご来店いただいたことのお礼をお客様に伝えましょう。この一言があるだけでお店への印象が良くなります。雨の中わざわざ来てよかったと思ってもらえれば、その後も気持ちよく過ごしてもらえるでしょうから、最初にしっかりと感謝の言葉を伝えることを徹底しましょう。
雨の日サービスをしていることを伝える
雨の日サービスをやっていることがわかっていても、お客様からはサービスをしてほしいとは言いづらいものです。ですから、必ず従業員が先に声掛けをするようにしましょう。サービスをさせていただくという流れをこちらから作れば、お客様に喜んでもらえますので、先手を取れるようロールプレイングを重ねておいてください。
こまめに床を拭く
雨の日の店内は床が濡れます。もしお客様が足を滑らせて転んでしまうと、嫌な気分にさせてしまいます。それが怪我にでもつながると店の責任問題にもなりかねません。ですから、床が濡れていないかこまめに確認し、少しでも濡れていればすぐに拭くように共有しておきましょう。
今回は、飲食店ができる雨の日対策についてお話させていただきました。
雨の日でもお客様にご来店いただけるような、または雨の日だからこそご来店いただけるような対策をいくつかお伝えしました。これらの対策は、お客様に知っていただくとともに、同じサービスができるように従業員間で対策の内容を共有しておくことが重要です。
雨の日が多いこの国で、何も対策をせず売上を落とし続けるのは非常にもったいないことです。雨の日にもしっかりと来店してもらえるよう、できる限りの対策をして、雨の日がむしろチャンスだと思えるくらいにまでしていきましょう。