飲食店の電話対応は、お客様との最初のコンタクトとなることが多いものです。
良い電話対応は、お客様の印象や信頼を高め、リピートや口コミにつながります。逆に、悪い電話対応は、お客様の不満や離反を招き、お店の評判や売上に影響します。そこで、いつも良い電話対応をできるようにするため、対応を体系化し共有することをおすすめします。
この記事では、飲食店にかかってくる電話の種類や対応の仕方、良い対応をするためのポイントなどを紹介します。
電話対応でお店の差別化を図りたい責任者の方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
飲食店は電話対応でお店の評判が決まる
飲食店は、電話対応でお店の評判が決まると言ってよいでしょう。電話対応はお客様との最初の接点となることが多く、お店のイメージや信頼を形成する重要な要素だからです。
ここでは、飲食店にかかってくる電話への対応の重要性やメリット、失敗した際のリスクなどを解説します。
電話対応の重要性とメリット
飲食店にとって電話対応は、お店に対するお客様の印象を左右します。電話対応が良ければ好印象を持ち、来店やリピートの可能性が高まるかもしれません。
逆に、電話対応が悪ければ、不信感や不満を抱き、来店やリピートをしなくなるかもしれません。最悪の場合、クチコミによって悪評が広まることもあるでしょう。
電話対応を良くするメリットは以下のとおりです。
・予約率やキャンセル率の改善
・クレームや苦情の減少
・口コミや評判の向上
これらのメリットは、飲食店の売上や利益に直結します。
電話対応は、お店の経営にとって重要な要素といってよいでしょう。
電話対応で失敗するとどうなる?
このように重要性の高い電話対応ですが、失敗するとお店のイメージや信頼が大きく損なわれる可能性があります。
例えば、以下のような電話対応の失敗が考えられます。
・予約やキャンセルの内容を間違える
・場所や営業時間の確認に答えられない
・イレギュラーな電話に対応できない
・クレームや苦情に対して不快な態度をとる
これらの失敗は、お客様に不満や不信感を与えるだけでなく、口コミやSNSで拡散されることで、他のお客様の印象も悪くしてしまうかもしれません。
また、スタッフがストレスを感じたり自信を失ったりすることがあるため、仕事のモチベーションやパフォーマンスにも影響します。
このように、電話対応の失敗は、お店全体の売上や評判にマイナスの影響を与えることになるでしょう。
飲食店にかかってくる電話はどんなものがある?
飲食店にかかってくる電話には様々なものがあります。しかしスタッフは、それぞれのシーンや要望に対し、適切に応じなければなりません。
ここでは、飲食店にかかってくる電話の種類とその特徴を紹介します。
予約やキャンセルの電話
飲食店にとって、予約やキャンセルの電話がもっとも頻度の高いものと言ってよいでしょう。
予約やキャンセルの電話を受けるときには、以下のポイントに注意してください。
・お客様の名前や連絡先を確実に聞く
・予約やキャンセルの内容を明確に確認する
・予約の場合、キャンセルに関するポリシーや料金を説明する
・電話してくれたことに感謝する
これらのポイントを守ることで、お客様に信頼感や満足感を与えることができます。また、予約やキャンセルの状況を正確に把握することは、円滑な店舗運営に欠かせません。ですから、ミスが起こらないようスタッフに徹底させましょう。
場所や営業時間の確認の電話
場所や営業時間の確認の電話もよくかかってきます。これは、お客様がお店に興味を持っている証拠なので、丁寧に対応しましょう。
場所や営業時間の確認の電話では、以下のポイントに注意してください。
・お店の住所や最寄り駅、ランドマークなどを明確に伝える
・営業時間や定休日、予約状況などを正確に伝える
・お店の特徴やおすすめメニューなどを簡潔に紹介する
・来店を促す言葉を添える
イレギュラーな電話
飲食店でも、時にはイレギュラーな電話に対応しなければならないこともあります。
イレギュラーな電話とは、例えば、
・メニューやアレルギー対応に関する詳細な質問
・食材の産地や調理法に関する専門的な問い合わせ
・お店のコンセプトや歴史に関する深い話題
・お店のスタッフやオーナーに関する個人的なコメント
など、通常の電話対応では想定しないような内容のものです。
このような電話であっても、お客様の要望や興味に応えることで信頼を築くチャンスとなりますので、丁寧に答えるように心がけましょう。
しかし、長時間の対応は他の業務に影響を及ぼすため、適切な会話の終了方法も必要です。
また、予測できない質問に対しては、知識不足を露呈する可能性があります。そのため、分からないことは正直に伝え、後日連絡することも考慮しましょう。
さらに、よくある質問や回答の例文を用意し、会話の終了方法を練習することで、対応の幅を広げることができます。
クレームや苦情の電話
飲食店には、お客様からクレームや苦情の電話がかかってくることもあります。
クレームや苦情の電話は、お店の評判や信頼を失う可能性が高いので、適切に対応することが重要です。
クレームや苦情の電話対応のポイントは、以下の3つです。
・クレーム内容や発生時期、連絡先を聞く
・謝罪と改善への取り組みを伝える
・クレーム解決時にお礼と再来店を促す
とはいえ、クレームや苦情の電話は誰もが最もやりたくないものであり、また、難しいものです。対応次第では大きな問題となり、営業に対し甚大な悪影響を及ぼしかねません。それを考慮して、クレームや苦情の場合は一般スタッフに任せるのではなく、責任者に取り次ぐというルールなどを決めておくのもよいでしょう。
電話対応の仕方
飲食店にかかってくる電話は様々ですが、どんな電話にも共通する基本のマナーがあり、予約やキャンセル、クレームなどの電話には、それぞれ適切な対応方法があります。
ここでは、飲食店で特に重要度の高い電話対応の仕方を紹介します。
お客様に安心と満足を感じてもらえるよう、これらを参考にしてスタッフで共有してください。
基本の電話マナー
良い電話対応に大切なのが、基本的な電話マナーを身につけることです。声のトーンやスピード、メモの取り方、復唱や確認の仕方など、細かなポイントがあります。これらをスタッフに徹底させることで、電話対応のスキルがアップするでしょう。
ここでは、基本的な電話マナーについて解説します。
声のトーンやスピードを調整する
電話対応での基本的なマナーのひとつめは、声のトーンやスピードを調整することです。
声のトーンは、明るくやさしく、穏やかに話すように心がけましょう。暗い声や怒った声、冷たい声は、相手に不快感や不信感を与えてしまいます。
また、笑顔で話すことで、声にも笑顔が伝わります。笑顔は相手にも感染するので、電話対応の効果を高めることができます。
声のスピードは、早すぎず遅すぎず、相手に合わせて話すようにしましょう。
早すぎると、相手に聞き取れないという不満や焦りを与えてしまいます。遅すぎると、相手に退屈させたり、興味がないと思わせたりしてしまいます。また、話すスピードに変化をつけることで、聞き手の注意を引くことができます。
メモを取り、復唱や確認をする
電話対応で最も重要なことのひとつが、メモを取ることです。メモを取ることで、相手の要望や情報を正確に把握し、ミスやトラブルを防ぐことができます。
また、メモを取った内容を復唱や確認することで、相手に聞き間違いや勘違いがないことを伝え、信頼感や安心感を与えることができます。
例えば、予約の電話対応では、以下のようにメモを取り、復唱や確認をしましょう。
「それでは復唱させていただきます。お名前は○○様ですね。○○様のお電話番号は090-xxxx-xxxxでよろしいでしょうか。ご予約は明日の12時から4名様で、お席はテーブルご希望ということでよろしいでしょうか。」
このようにすることで、情報を正しく受け取ったことを伝えられるとともに、自分も内容を忘れないようにすることができます。
3コール以内に出る
電話が鳴ったら、できるだけ早く出ることが大切です。一般的には、3コール以内に出るのが理想的とされています。なぜなら、お客様は電話をかけた時点で何かしらの要望や問題を抱えているからです。
そのため、長く待たせると、不安やイライラが募り、お店に対する印象が悪くなってしまいます。
また、電話が繋がらないと、他のお店に変更する可能性もあります。そのため、速やかに電話に出ることが必要です。
しかし、焦って出ると、声や言葉遣いが乱れてしまうこともあります。そうならないように、電話に出る前に一呼吸おきましょう。そして、明るく元気な声で「お電話いただきありがとうございます。〇〇でございます。」と名乗ってください。
使ってはいけない言葉を避ける
電話対応で使ってはいけない言葉とは、相手に不快感や不信感を与える言葉です。
例えば、「わかりません」「できません」「無理です」などの否定的な言葉や、「ちょっと待ってください」「今忙しいんですけど」などの言葉は、お店の印象を悪くしたり、信頼関係を損ねたりする可能性があります。
そこで、以下の3つのポイントを意識しましょう。
・肯定的な言葉を使う
・関心や興味を示す言葉を使う
・親しみや尊敬を示す言葉を使う
電話対応で使ってはいけない言葉を避けることで、相手に好印象を与えることができ、お店の評判や信頼度も高まります。
電話器の近くに、使ってはいけない言葉と代わりに使える言葉の例を記載しておくと便利です。
予約の電話対応
予約の電話対応は、お店の売上や評判に直結する重要な業務です。予約の電話対応が不親切で不確かであれば、お客様はお店に対して不信感を持ち、キャンセルやノーショーの可能性が高まるからです。
ここでは、予約の電話対応において注意すべきポイントと、具体的な例文をご紹介します。
予約内容や人数、日時、連絡先を確認する
予約の電話対応では、まず予約内容や人数、日時、連絡先を確認することが大切です。これにより、お客様のニーズを把握し、適切な席やコースを提案できます。
また、連絡先を確認することで、万が一の変更やキャンセルに備えることができます。
予約特典やキャンセルポリシーを伝える
予約の電話対応では、お客様に予約特典やキャンセルポリシーを伝えることが重要です。
予約特典は、お客様の来店意欲を高めるとともに、お店のサービスやメニューをアピールするチャンスです。
キャンセルポリシーは、お客様にキャンセル時の条件を事前に知らせることで、キャンセルの発生やトラブルを防ぐことができます。
以下に、予約特典やキャンセルポリシーを伝える際の例文を示します。
■予約特典の説明
「当店では、ご予約いただいたお客様には、特別なサービスをご用意しております。ご来店時には、無料でウェルカムドリンクをお選びいただけ、デザートも一品サービスさせていただきます。また、ご予約の人数が4名様以上の場合は、10%オフの特別価格でご提供いたしますので、お楽しみにしてください。」
■キャンセルポリシーの説明
「なお、ご予約の変更やキャンセルは、前日までにお電話でご連絡ください。当日のキャンセルや無断キャンセルの場合は、キャンセル料が発生いたしますのでご了承ください。キャンセル料は、コース料金の50%となります。万が一、キャンセルされる場合は、早めにお知らせいただけますと幸いです。」
予約完了時にお礼と来店を促す
予約内容や人数、日時、連絡先を確認したら、予約完了時には必ずお礼と来店を促す言葉を添えましょう。
これは、お客様に予約の確実性とお店の期待感を与える効果があります。
例えば、以下のような例文があります。
「ご予約ありがとうございます。当日はスタッフ一同、心よりお待ちしております。どうぞよろしくお願いいたします。」
「ご予約いただきましてありがとうございます。当日は特別な一日になるように、最高のおもてなしをさせていただきます。楽しみにお越しくださいませ。」
このように、予約完了時には感謝の気持ちと来店の喜びを伝えることで、お客様との信頼関係を築きましょう。
キャンセルの電話対応
飲食店にとって、キャンセルは大きな損失になります。しかし、キャンセルの電話対応を適切に行うことで、お客様との信頼関係を保ち、再来店のチャンスを逃さないようにすることができます。
ここでは、キャンセルの電話対応のポイントと例文を紹介します。
お名前と人数、日時を確認する
キャンセルの電話がかかってきたら、まずはお名前と人数、日時を確認しましょう。
例えば、「大変申し訳ございませんが、明日の予約をキャンセルさせていただきたいのですが…」という電話に対しては、「お電話ありがとうございます。明日のご予約のキャンセルを承ります。お客様のお名前と予約人数、お時間をお伺いできますでしょうか?」と尋ねます。
このとき、キャンセルの理由を聞くのは控えましょう。理由によっては、お客様が気まずく感じる可能性があります。
キャンセル料が発生する場合は丁寧に説明する
予約をキャンセルされると、お店にとっては大きな損失になります。しかし、お客様にとってもやむを得ない事情があるかもしれません。そのため、キャンセル料が発生する場合は、丁寧に説明することが大切です。
キャンセル料の発生理由や金額、支払い方法などを、分かりやすく伝えましょう。
例えば、「大変申し訳ございませんが、当日のキャンセルの場合は、予約人数分の50%のキャンセル料が発生いたします。」というように言います。
また、お客様の気持ちに寄り添い、理解を求める言葉を添えましょう。例えば、「ご来店を楽しみにしていただいていたことと思います。大変残念ではございますが、何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます」という具合です。
キャンセル料が発生する場合は、お客様に不快な思いをさせないように、丁寧に説明することで、信頼関係を保ち、再来店の可能性を高めることができます。
キャンセル受付時にお礼と再来店を促す
キャンセルの電話を受けたときは、お客様の都合を尊重し、連絡してくれたことに感謝の気持ちを伝えましょう。
例えば、「大変申し訳ございませんが、明日のご予約をキャンセルさせていただきたいのですが」という電話に対しては、「ご連絡いただきありがとうございます。お客様のご都合が悪くなられたとのこと、大変残念です」と返答すると良いでしょう。
また、再来店を促すためには、「またの機会にぜひご利用くださいませ。お待ちしております」という言葉を添えることが重要です。これにより、お客様に対する配慮と好印象を与えることができます。
クレームの電話対応
飲食店にとって、クレームや苦情の電話は避けられないものです。しかし、その対応次第で、お客様の不満を解消し、信頼関係を築くこともできます。
逆に、対応が悪ければ、お客様を失うだけでなく、口コミやSNSでの悪評が広がるリスクもあります。
ここでは、クレームへの電話対応のポイントと例文を紹介しますが、先述したようにクレームの電話対応は大きな問題に発展する可能性もあり、誰もがやりたくないものです。ですから、クレーム対応は一般スタッフには任せず、すべて責任者が担当するというのも選択肢の一つかと思います。
クレーム内容や発生時期、連絡先を聞く
クレームを受けたときは、まずは落ち着いて、相手の話をよく聞きましょう。
クレームの内容や発生した日時、連絡先などをメモにとり、復唱して確認します。
謝罪と改善への取り組みを伝える
クレームの電話対応では、まずはお客様の不満や不快な思いを受け止め、心からの謝罪を述べることが大切です。
しかし、それだけではお客様の信頼を回復することはできません。謝罪だけでなく、同じ問題が起きないように改善に取り組んでいることを具体的に伝えることが必要です。
謝罪と改善への取り組みを伝えることで、お客様に当店の真摯な姿勢と責任感を感じていただき、信頼関係を修復することができます。
ただし謝罪する際は、こちらに非があることに関してだけ謝るように気を付けてください。お客様の言い分に対してすべて謝罪してしまうと、過剰な要求をされるなどの新たなトラブルにつながりかねないからです。
クレーム解決時にお礼と再来店を促す
クレームを解決したら、お客様に感謝の気持ちと再来店のお願いを伝えましょう。例えば、以下のような言い方ができます。
「ご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。ご指摘に感謝し、同じ問題が再発しないよう改善します。ご理解とご容赦をお願いします。またのご来店を心よりお待ちしております。」
このように、謝罪と改善への取り組みを再確認し、お客様の信頼回復とリピート促進につなげることができます。
電話対応で失敗しない3つのポイント
印象に残る電話対応をすることで、お客様の満足度やリピート率を高めることができるとはいえ、実際は簡単なようで難しいものです。あらゆる状況に対応しなければならないうえに、声だけで相手の感情やニュアンスを読み取る必要もあるからです。
そこで、電話対応で失敗しないためには、以下の2つのポイントを押さえておくとよいでしょう。
マニュアル化することで一貫性と安心感を保つ
電話対応は人によって差が出やすく、場合によってはお客様を不快にさせてしまう可能性もあります。そこで、電話対応で失敗しないためには、マニュアル化することが重要です。
マニュアル化することで、以下のメリットが得られます。
・電話対応の基準やルールを明確にすることで、スタッフ間の一貫性を保つことができる
・電話対応の例文や注意点を用意することで、スタッフの対応力や自信を高めることができる
・電話対応の記録や分析を行うことで、問題点や改善点を見つけることができる
・電話対応の品質を向上させることで、お客様の信頼や満足度を高めることができる
マニュアル化することで、お客様に一貫性と安心感を与えることができるだけでなく、スタッフのモチベーションやスキルも向上させることができます。ぜひ、マニュアルを作成し、失敗を防ぎましょう。
ロールプレイングで練習することで自信とスキルを高める
電話対応は、実際にやってみないと分からないことが多く、マニュアルを読んだだけでは、臨機応変に対応できないものです。そこで、ロールプレイングを活用しましょう。
ロールプレイングとは、実際の電話対応のシミュレーションを行うことです。スタッフ同士で、お客様と店員の役割を分担して、電話のやり取りを再現します。
ロールプレイングでは、以下のことに注意してください。
・マニュアルに沿って話す
・声のトーンやスピードを意識する
・メモを取る
・復唱や確認をする
・お礼や来店の促しを忘れない
ロールプレイングを繰り返すことで、電話対応の自信とスキルが高まります。また、お客様の反応や質問にも慣れていきます。
ロールプレイングは、飲食店の電話対応の上達に欠かせない方法です。
この記事では、飲食店の電話対応の重要性とメリット、かかってくる電話の種類と対応例、失敗しないためのポイントなどをご紹介しました。
電話対応は、基本的な業務でありながら、お店の評判や売上に直結する大切な業務です。マニュアルを作成し、スタッフに徹底させることで、お客様に安心感と信頼感を与え、リピートや口コミにつなげることができます。
この記事を参考にしていただき、お店の電話対応を改善してみてください。お客様からの電話が増え、お店が繁盛することを願っています。