いまや、ネット上に書き込まれる口コミが飲食店の営業に与える影響は計り知れません。
特に悪い口コミは、お店のイメージを下げ、お客様の足を遠のかせる可能性がありますので、深刻なダメージにつながりやすいものです。
そこで、この記事では、悪い口コミを書かれた際の対処法を紹介します。
悪い口コミを書かれた場合の初動や悪質な口コミの削除依頼のやり方、それ以前の悪い口コミを書かれにくくする対策まで、お店の評判を守るための方法です。
これらの対策によって、悪いクチコミのダメージを抑えられるだけでなく、結果的に集客を増やし、お店の繁盛にもつながることでしょう。
悪い口コミが来たらどうする?対処法の基本
常に、質の高い商品やサービスを提供していても、悪い口コミが入らないとは限りません。そこで重要なのが、悪い口コミに備えておくことです。
ここでは、悪い口コミに対処するための基本的なステップを、具体的かつ理解しやすい形で解説します。
これらを参考にして、悪いクチコミのダメージを最小に抑え、逆にお店にとってプラスとなるようにしてください。
口コミの真偽を確認しよう
悪い口コミが入った場合、まずはその内容が事実に基づいているかどうかを冷静に分析してください。
批判が正当な場合は、この機会を利用してサービスの改善点を見つけ、顧客満足度を高めるチャンスと捉えましょう。お客様の声を真摯に受け止め、それに基づいて行動を起こすことで、信頼性と好感度を高めることができます。
しかし、客観的な事実と異なる場合や、誤解に基づく内容であれば、その点を明確にし、訂正要求や削除依頼をすることが可能です。
それぞれについて、次節以降で詳しく見ていきます。
悪い口コミへの対応は、お店のブランドイメージを守り、お客様との関係を強化するために重要ですので、ぜひチェックしてください。
丁寧に返信する
悪い口コミには、必ず丁寧に返信しましょう。これは、口コミの内容が事実かどうかにかかわらず行ってください。
まず、返信は速やかに行います。時間が経つほど、投稿者の不満が増したり、多くの見込み客の目に触れたりし、悪い方向に向かうばかりです。焦る必要はありませんが、できるだけ早く対処することを心がけてください。また、返信する際は、感情を抑え、事実に基づいた内容で、誠実かつ具体的に文章を書きましょう。
内容が事実の場合
正当な内容の口コミである場合は、お詫びの言葉を添え、問題解決に向けた具体的な行動を示すことが大切です。
例えば、「ご指摘いただいたサービスの遅延について、深くお詫び申し上げます。現在、スタッフの教育を徹底し、再発防止に努めております」といった返信が考えられます。
このように、悪い口コミを真摯に受け止め、改善につなげる姿勢を見せることで、他のお客様にもポジティブな印象を与えることができます。つまり、この返信を読んだ他の見込み客の方にお店の姿勢やスタッフの人柄などを伝えられ、お店に良いイメージを持ってもらうことも可能だということです。
ですから、悪い口コミは、改善のチャンスと捉え、お店のブランド価値を高めるための一歩としてください。
ということは、返信は、悪い口コミを書いた人だけでなく、これを読む第三者がどのように捉えるかも想像しながら書くことが大切だということです。
可能であれば、他のスタッフや知人に読んでもらい、返信文から受ける印象を聞いてから送るとよいでしょう。
内容が事実と確認できなかった場合
口コミの内容が事実と確認できなかった場合には、この返信でそのことを伝えるとよいでしょう。そうすると、これを読んだ第三者は、口コミを書いた人の勘違いだったと思ってくれるはずです。
ただし、事実と確認できなかったとしても、書き込みをした人は実際に不快な思いをしているかもしれません。ですから、「そのような事実はありませんでした」と完全に否定するのではなく、「現在調査中ですが、事実の把握に至っておりません。詳しく状況をお聞きしたいので、お店に電話をいただけませんでしょうか。」などと書いて、やんわりと否認する形にするとよいでしょう。
また、悪い口コミに対してだけでなく、良い口コミへも普段から返信をこまめにするようにしてください。
お店の人から返信があるのだと思うと、悪い口コミを書きづらくなりますし、書くとしても表現に気を遣うようになるからです。もちろん、良い口コミを書いた人に喜ばれて、次の来店にもつながります。
悪い口コミを活用して改善する
悪い口コミとはいえ、妥当な指摘をしているのであれば、これを改善の機会と捉えることが重要です。問題点を理解し、具体的な改善策を講じることで、サービスの質を向上させることができます。
まず、悪い口コミを受けた際には、冷静に内容を分析しましょう。それにより、スタッフのトレーニングを強化したり、メニューを見直したりすることが考えられます。
このプロセスを通じて、お店はお客様の期待に応えるサービスを提供することができ、結果としてリピーターを増やし、売上向上に繋がります。
悪い口コミは、改善のための貴重なフィードバックとして活用することで、お店のブランド価値を高めることができるのです。
口コミの削除は可能?削除のためのステップ
悪い口コミが入った時、受け入れざるを得ない内容であれば、返信をし改善につなげるしかありませんが、事実に反する内容や不適切な表現であった場合には、そのまま口コミを残しておきたくはないでしょう。
では、口コミの削除は可能なのでしょうか?
ここでは、残しておきたくない悪い口コミへの対処法をお伝えします。
削除可能な口コミとは?基準をチェック
悪い口コミの削除が可能かどうかは、多くの方が抱く疑問です。実は、削除可能な場合があり、その基準は各媒体で決められています。
例えば、Googleビジネスプロフィールの場合、削除対象として報告できる口コミを「禁止および制限されているコンテンツ」として公表しています。
食べログも「口コミガイドライン」を定めており、これに反する内容のものは、削除をしてもらえる可能性が高いといえます。
それぞれから要点を抜き出すと、虚偽の情報、誹謗中傷、個人のプライバシーを侵害する内容、または法律に違反する内容が含まれている場合などが削除の対象となっています。さらに、サービスや商品に関係のない個人的な攻撃や、不適切な言葉遣いを含む口コミも、削除要請に応えてもらえそうです。
しかし、単に店舗のサービスや商品に対する個人的な意見である場合は、削除をしてもらうのは難しいでしょう。これらはお客様の正直なフィードバックとして受け止め、改善の機会と捉えることが重要です。
削除ではなく、先述のとおり丁寧な返信を通じて、お客様との関係を修復し、ブランドの信頼性を高めるチャンスに変えましょう。
削除依頼の方法
削除基準に該当する口コミの場合は、削除依頼をすることになります。ここでは、Googleビジネスプロフィールを例にお伝えします。
なお、媒体により細かな違いがありますので、各媒体での削除依頼の方法を確認してください。
まず、Googleビジネスプロフィールでは、管理者でなければ口コミの削除依頼をできませんので、管理者になっていない場合は先に管理者登録を行ってください。ただし、管理者になるのに2、3週間かかる場合もあります。
第三者でも当該口コミから「レビューの報告」を行うことができますので、まずは、各口コミの右上にある「三点マーク」から報告しておくとよいでしょう。
管理者であれば、「Googleビジネスプロフィールヘルプ」ページ内の「Googleのビジネスプロフィールからクチコミを削除する」ページを開きます。
以降、以下の順番で操作してください。
1. 上記のページ内にある「クチコミの削除をリクエストする」というボタンをクリックすると「Google ビジネス プロフィールのクチコミの管理」が開きますので、そこに書かれているメールアドレスに間違いがなければ「確認」をクリックします。
2. 「ビジネス名」にある店舗を選択し「次へ進む」をクリックします。
3. 「新しいクチコミの削除をリクエストする」を選択し、「次へ進む」をクリックします。
4. 口コミの一覧が表示されますので、削除依頼したい口コミの右側にある「報告」をクリックします。
5. 削除すべき理由が複数表示されますので、当てはまるものを選択し「送信」をクリックします。
削除依頼は以上で終了ですが、必ずしも削除されるわけではないことはご了承ください。
媒体側が削除事由に当たらないと判断した場合は、そのまま掲載され続けます。その際は、「Googleビジネスプロフィールヘルプ」ページにある「お問い合わせ」から対応を求めるなどをすれば、削除に応じてもらえる可能性がありますので、根気強く依頼をしてください。
最終手段の法的措置は弁護士に相談を
削除依頼を繰り返すことで、媒体が削除に応じてくれることがありますが、必ずしも求める結果になるとは限りません。もし、削除に応じない場合は、最終的に法的措置を検討することも一つの手段です。
その際には、弁護士への相談は不可欠と思ったほうがよいでしょう。弁護士は、口コミが名誉毀損や業務妨害にあたるかどうかの法的な評価を行い、最適な対応策を提案してくれます。また、訴訟に至る前に、口コミの投稿者に対して警告をしてくれ、それにより問題が解決することもあります。
訴訟は時間と費用がかかるため、他の手段で解決が見込めない場合に考えるべきものです。その前に、できる限りの対話や交渉で問題を解決しようと努めることが大切です。
悪い口コミを防ぐための予防策
ここまで悪い口コミを書かれた場合の対処法をお伝えしてきましたが、やはり悪い口コミを書かれないに越したことはありません。
一旦悪い口コミを書かれてしまうと、少なからずダメージを負うことになります。ですから、多少負担が増えるかもしれませんが、後にダメージを受けないために必要なコストと考えて、事前の対策をしておきましょう。
商品・サービスの質を常にチェック
悪い口コミを書かれる場合、多くが商品やサービスの質に不満を感じたことによります。特に、接客態度が悪いというときに、感情的なクチコミにつながりやすいようです。
ですから、まず、スタッフの教育を徹底し、接客態度の向上を図りましょう。そして、接客の質を継続的に評価し、こまめに改善を実施することが重要です。
また、定期的に、メニューの更新や味の変更、店内清掃の見直しなども実施しましょう。
お客様とのコミュニケーションを大切に
商品やサービスへの不満が悪い口コミにつながりやすいと書きましたが、同じ商品やサービスだったとしても、お店の人が丁重に接してくれていると感じれば、悪い口コミを書こうとは思わないでしょう。
では、丁重に接してくれているとお客様が感じるのはどういうときかというと、細やかな気配りがされ、適度なコミュニケーションを取られているときです。自分に合わせた商品提供やほどよい会話をしてくれていると思えば、尊重されていると感じるでしょう。
ですから、お客様をもてなす気持ちを持って、細やかなコミュニケーションをとることを心がけてください。
また、人は不満を感じると表情や態度に表れますので、お客様のことをよく見て、商品・サービスに満足してもらえているかをこまめにチェックすることも重要です。もし、わずかでも異変を感じた場合には、すぐに声掛けをして何か不満な点がなかったかを確認し、対応するようにしましょう。
お店の正しい情報を出す
他にも、お店が想定するタイプとは異なるお客様によって、悪い口コミを書かれることがあります。
例えば、楽しく飲食して、にぎやかなことを良しとするお店に、静かに過ごしたいと思う人が来店すれば、「とてもうるさい店だった」などと書かれるかもしれません。
これは、お店の情報が不十分、または誤解を招くものである場合に起こりやすくなります。お客様の期待と実際のお店との間にギャップが生じてしまうからです。
ですから、どのようなお店かという情報をわかりやすく出しておくようにしましょう。また、お店のウェブサイトやSNS、Googleビジネスプロフィールなど、複数の媒体で一貫性を持たせることも重要です。
お店の雰囲気やコンセプトを正確に伝えるためには、写真や動画を活用するとより効果的です。リアルな店内の様子や料理の写真は、お客様が訪れる前に求める店かを判断するのに役立ちます。
良い口コミを多く集めておく
悪い口コミを書かれないために良い口コミを集めておく、というのが理解しづらいかもしれませんが、人は、良い口コミばかりのところに悪い口コミを書くことに抵抗を感じるものです。逆に、ほとんど口コミが書かれていなかったり、他にも悪い口コミが多く書かれていたりすると、悪い口コミを書くのにためらいを感じなくなります。
また、良い口コミが多くあれば、仮に悪い口コミを書かれたとしても、あまり目立たず、影響を小さくできます。
このように、悪い口コミを書かれないようにするためだけでなく、その影響を抑えるという点でも、普段から良い口コミを書いてもらうようにするとよいでしょう。
では、どのようにすれば良い口コミを多く集めることができるのでしょうか。
先述の内容と重複しますが、まずは提供する商品・サービスの質を高めることが重要です。お客様が期待以上の体験をすることができれば、良い口コミを進んで書いてくれやすくなるからです。
また、お客様に直接依頼するという方法もあります。やり方はシンプルに「当店を気に入っていただけましたら、ぜひ口コミの投稿をお願いできませんか?」と口頭で伝えるだけです。多くのお店がやっていないことですが、意外と効果の高い方法です。
ただ、口頭で依頼するだけだと、投稿のやり方がわからず、口コミをしてもらえないことも多いです。ですから、口コミのページに直接飛べるように、そのページのQRコードを印刷したカードを手渡すとよいでしょう。また、何を書いてよいかわからないという人もいますので、そのカード上に口コミの例文を書いておくと、より書いてもらいやすくなります。
飲食店であれば、悪い口コミは避けられないものです。
しかし、それに対処する方法は様々ありますので、書かれた場合には冷静に対応するとよいでしょう。その際には、悪い口コミをいかにプラスに転化するかを考えてください。
また、悪質な口コミなどであれば、削除依頼することも可能です。その際には、各媒体で用意された方法で行ってください。
とはいえ、そもそも悪い口コミを書かれないのが理想です。そのためにも、日頃からの予防策が重要です。
悪い口コミを書かれたとしても、それをきっかけに悪い口コミを書かれないようにしていけば、より良いお店になっていくはずです。お店もお客様も皆が満足し、商売が益々繁盛していくことを願っています。