アイドルタイムは、飲食店経営をする者にとって悩みの種の一つです。それは、売上が低下するだけでなく、コストや人材管理にも影響を与える重要な課題だからです。
しかし、アイドルタイムを有効活用することができれば、売上アップだけでなく、競争力やブランディングにもつながります。
この記事では、アイドルタイムの売上を伸ばすための施策や、アイドルタイムに集客する告知方法を具体的に解説していきます。
飲食店のアイドルタイムとは?
アイドルタイムとは、飲食店の営業時間のうち、客足が少なくなる時間帯のことを指します。
業態や立地により異なりますが、レストランであれば昼食後の午後2時から5時まで、居酒屋であれば夕食前の午後5時から7時までといった時間が、一般的にアイドルタイムとされています。
ちなみに、別の言い方ではデッドタイムと呼ぶこともあります。逆に、混み合う時間の呼び名はピークタイムです。
アイドルタイムは、飲食店にとって悩ましい存在です。客数が減ることで売上が下がり、コストパフォーマンスが悪くなります。また、店内が空いていることで、お客様に寂しい印象を与えてしまう可能性があります。
しかし、アイドルタイムは必ずしもマイナスだけではありません。アイドルタイムを有効活用すれば、売上アップや競争力の向上につなげることができますので、上手に活用することが重要です。
アイドルタイムのメリット・デメリット
アイドルタイムは、客足が遠のき売上が低下するマイナス面がある一方、有効活用すれば売上増加のチャンスにもなります。
この章では、アイドルタイムのメリットとデメリットについて詳しく見ていきます。
メリット
アイドルタイムとは、お客様が少ない時間帯のことを指しますが、逆にいろいろなことに使える時間があるということでもあります。そのような、アイドルタイムのメリットについて詳しく見てみましょう。
調理の仕込みができる
アイドルタイムの一つに、調理の仕込みができるというものがあります。
仕込みをアイドルタイムにしっかり行っておけば、ピークタイムにはスムーズに調理ができるようになりますので、お客様の待ち時間を短縮し、満足度を高めることができます。
アイドルタイムがないお店では、営業開始のかなり前に来て仕込みをすることも多いのですが、アイドルタイムをうまく使えば、営業時間外の仕事が減らせるでしょう。
店内清掃ができる
店内清掃ができるのも、アイドルタイムのメリットの一つです。
飲食店では衛生面を重視しなければなりませんが、常に忙しいと清掃が追い付かなくなることがあります。
アイドルタイムがあれば、この時間を利用して店内の清掃を徹底的に行うことが可能です。これにより、お客様に清潔感ある空間で快適に飲食してもらえます。
アイドルタイムがあることで、仕込みと同様に、営業時間外の清掃の仕事を少なくできます。
スタッフの休憩・教育ができる
アイドルタイムには、スタッフの休憩や教育に時間を割くこともできます。
忙しい時間帯の後にアイドルタイムがあれば、スタッフの体力や精神力を回復させるための時間として使えます。
他にも、スキルアップやモチベーションアップに役立つ教育を行うことも可能です。
例えば、接客マナーや衛生管理の研修、新メニューのレシピ開発や試食などです。これらの教育を通じて、スタッフの知識や技術を向上させるとともに、チームワークや士気を高められます。
このようなスタッフの休憩や教育は、売上や競争力に直接的な影響があるように感じにくいものですが、サービスの質や効率を向上させることにつながり、いずれ売上となって返ってくるものです。そのため、アイドルタイムを有効活用して、スタッフの休憩や教育を行うことは、飲食店経営において重要なポイントです。
集客・販促活動ができる
忘れてはならないのが、アイドルタイムを使って集客・販促活動ができるということです。
例えば、SNSやホームページでお店の情報やお得なキャンペーンを発信したり、近隣の企業や団体にチラシやメニューを配布したり、地域のイベントに参加したりすることができます。
これらの活動は、お店の知名度や評判を高めるだけでなく、新規客やリピート客の獲得にもつながりますので、アイドルタイムを有効活用して、情報発信やコミュニケーション強化に取り組みましょう。
デメリット
アイドルタイムが問題とされるのは、やはりデメリットが大きいからです。
では実際にどのようなデメリットがあるのかを見ていきます。
売上に対するコストが高くなる
アイドルタイムは、売上が少ないにもかかわらず人件費や光熱費などのコストがかかるというデメリットがあります。
これらのコストを下げたくても、営業をしていれば限度があります。したがって、売上によってはコストをカバーできないこともあるでしょう。
これは、お店の全体の利益率を下げる要因となります。
店内の活気がなくなる
お客様が少なくなり従業員の動きもあまりなくなると、お店に活気が感じられなくなります。
これは、お客様の印象や評判にも影響します。アイドルタイムに来店したお客様が、店内が空いていて寂しい雰囲気を感じたら、また来たいと思うでしょうか?
また、そのお客様が口コミで店のことを良く言ってくれるでしょうか?
もっとも、従業員がお客様とコミュニケーションをとるなどをすれば、ある程度活気を出すことはできますので、活気がなくならないように工夫していきましょう。
アイドルタイムの有効活用方法
前章では、アイドルタイムのメリットとして、できることをいくつか紹介しましたが、さらにアイドルタイムを有効に活用する方法があります。
ここでは、それら活用方法の代表的なものについてお伝えします。
ハッピーアワーの実施
アイドルタイムの活用方法として、最もポピュラーなのがハッピーアワーの実施です。
ハッピーアワーとは、アイドルタイムに限定して、ドリンクやフードを割引価格で提供するサービスです。
このサービスのメリットとして、以下のものが挙げられます。
・安価な価格設定で、新規客やリピーターを増やすことができる
・ドリンクやフードの消費量を増やすことで、売上を高めることができる
・アイドルタイムにおける店内の活気を作り出すことができる
ただし、ハッピーアワーを実施する際には、以下の点に注意してください。
・割引率や対象商品は、競合店との差別化を図ること
・しっかり利益が残せるように、価格を決めること
・割引期間や時間帯は、顧客のニーズに合わせて設定すること
・ハッピーアワーの存在を、効果的に告知すること
以上のように、ハッピーアワーは、飲食店のアイドルタイムを有効活用して、売上アップと競争力を高める方法の一つです。ぜひ、ご検討ください。
限定メニューの提供
アイドルタイムに限定メニューを提供することで、お客様の興味を引き、来店率を高めることができます。
限定メニューは、通常のメニューとは異なる価格設定や内容を工夫することで、お得感や新鮮さを感じさせることが重要です。
例えば、季節の食材や特別な調理法を使ったメニューや、コラボレーションやキャンペーンなどのイベント性の高いメニューなどが考えられます。
限定メニューは、SNSや看板、POPなどで告知することで、効果的に集客することができます。
業態の変更
アイドルタイムを有効活用する方法として、他にも業態の変更があります。
業態の変更とは、アイドルタイムに限って、元来とは異なる業態に切り替えることです。
例えば、ランチタイム、ディナータイムにはレストランとして営業し、アイドルタイムだけカフェとして営業するといった具合です。
このようにすることで、アイドルタイムにも、別の顧客層を呼び込めます。また、自分の店の特徴や強みを生かした業態に変更することで、競合店との差別化も図ることが可能です。
ただし、業態の変更には、メニューや備品、スタッフの配置など、多くの準備やコストがかかります。
加えて、自分の店のブランドイメージやコンセプトを損なわないように注意する必要もあります。
業態の変更は、アイドルタイムを有効活用する大胆な方法であり、成功すれば売上アップと競争力向上につながりますので、ぜひ検討してみてください。
アイドルタイムの告知の仕方
アイドルタイムの有効活用法をお伝えしましたが、お客様にその存在と魅力を知ってもらわなければ成果につながりません。
ここでは、その告知方法について説明します。
SNS
アイドルタイムを広く知らせるには、SNSの活用がおすすめです。
SNSは、低コストで多くの人に情報を届けることができる優れたツールだからです。
しかし、ただ投稿するだけでは効果は期待できません。どのようにSNSを使うかが、アイドルタイムの集客に大きく影響します。
SNSでアイドルタイムを告知する際には、以下のポイントに注意しましょう。
・ターゲット層を明確にする
・投稿時間や頻度を工夫する
・写真や動画などの視覚的な要素を使う
・ハッシュタグやキャッチコピーなどで注目を引く
・フォロワーとのコミュニケーションを図る
これらのポイントを踏まえて、アイドルタイム施策の魅力や特典を伝えることで、SNSからの集客率を高めることができるでしょう。
SNSは強力な武器となりますので、ぜひ積極的に活用してみてください。
看板やPOP
看板やPOPも、お客様を呼び込むのに効果的なツールです。
しかし、ただ目立つだけではなく、お客様のニーズに応える内容にするとよいでしょう。
看板やPOPの作り方のポイントは以下のとおりです。
・アイドルタイムの特典や限定メニューなどを明確に伝える
・文字は大きくて読みやすく、色は鮮やかで目を引くものにする
・写真やイラストは、料理の魅力や店内の雰囲気を表現するものにする
・定期的に内容や位置を変えて、新鮮さを保つ
看板やPOPは、お客様の最初の印象を決める重要な要素です。アイドルタイムに合わせて工夫してみましょう。
クーポン配布
アイドルタイムにお客様を呼び込むためには、クーポンを配布することも有効です。
クーポンは、アイドルタイム限定の割引やサービスなど、お得感を感じさせるものにすることがポイントです。
クーポンの配布方法は、以下のようなものがあります。
・来店客に手渡し
・チラシにつけてポスティングや折り込み
・LINEなどのメッセージアプリ
・グルメサイトなどのインターネット媒体
クーポンを配布する際には、次の点に注意しましょう。
・有効期限や利用条件を明記する
・アイドルタイムの時間帯を強調する
・クーポンの数や枚数を限定する
これらの工夫により、お客様に緊急性や希少性を感じさせて、アイドルタイムに来店する動機づけを高められます。
飲食店のアイドルタイムを有効活用して、売上アップと競争力を高める方法ということで、この記事では、アイドルタイムの定義とメリット・デメリット、そしてアイドルタイムを活かすための具体的な施策と告知の仕方について解説しました。
アイドルタイムとは、お店の客足が少なくなる時間帯のことですが、デメリットばかりではなく、メリットもあることを紹介してきました。
メリットを活かすことで、いかにデメリットを減らすかが重要となります。
アイドルタイムを有効活用する方法としては、ハッピーアワーの実施、限定メニューの提供、業態の変更などが代表的です。また、アイドルタイムの告知の仕方としては、SNSや看板やPOP、クーポン配布などがあります。
アイドルタイムは、飲食店経営をするうえで悩みの種かもしれませんが、工夫次第でチャンスに変えることができます。
ぜひこの記事で紹介した施策や告知の仕方を試してみてください。
あなたの飲食店が繁盛することを願っています。