新型コロナウイルスの影響が収束に向かう中、飲食店にはお客様が戻りつつあり、従業員を確保することが次の課題となっています。
そこでおすすめしたいのがリファラル採用です。リファラル採用とは、現従業員の友人・知人を紹介してもらい採用する方法であり、多くの業種で導入が進んでいます。飲食店でも紹介による採用は珍しくありませんが、システム化して力を入れていこうとしているところは少ないのではないでしょうか。
今回は、このリファラル採用について、メリットや効果の上がるやり方などを解説します。
人材確保のための参考となりますので、ぜひ最後までお読みください。
リファラル採用とは?
リファラルとは「紹介」や「推薦」などの意味を持つ言葉です。
現在働いている従業員の友人や知人を紹介してもらい、社員やアルバイトとして採用するのがリファラル採用です。お店と応募者を仲介したのが従業員であるというだけで、採用に至るまでの基準等は、通常の採用と同様となります。
「縁故採用」との線引きは明確ではないものの、縁故採用は採用基準が不明確で採用が前提となっていることが多いのに対し、リファラル採用は通常の採用基準を適用する点で異なっています。
他の採用形態とは異なるメリットが注目され、多くの業種で導入されており、飲食店でも取り入れるところが増加中です。
リファラル採用のメリット・デメリット
では、リファラル採用にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。それらを明らかにしておきましょう。
メリット
リファラル採用に注目が集まる理由となる、メリットについて見てまいります。
お店と紹介された人のマッチング率が高い
お店のことをよく知っている従業員が紹介してくれるので、紹介された人がお店にとってふさわしい人である可能性が高くなります。お店も紹介される人も事前に情報があるため、お互いに深く知ったうえで納得度が高い状態で採用となるからです。
また、紹介されて入店する人は、知人が働いていることで職場に馴染みやすく、モチベーション高く働くことができます。働くことへの満足度が高ければ、退職の心配も少なく、長く働いてくれることとなるでしょう。
採用コストが削減できる
求人広告を出したり人材紹介会社に依頼したりすると、ある程度の費用がかかります。しかし、リファラル採用の場合はこれらの費用はかかりませんので、コスト削減につながります。
しかも、成果報酬として後払いすることとなりますので、コストの無駄も起きにくい仕組みです。
求職潜在層を獲得できる
従業員が能動的に声掛けをしてくれることで、求職活動をしていない人や漫然と新しい職場を求めている人など、潜在的な求職者を掘り起こすことが可能です。一般的な求人ではつながることがない人と接点を持ち、より良い人材を確保できる可能性も高まります。
既存従業員の定着率を上げられる
知人が働き始めることで、その人を紹介した既存の従業員がお店に定着しやすくなります。知人がいることで働きやすくなるということもあるでしょうが、お店を勧めることが愛着心を強くするという面もあります。
デメリット
導入が広がっているリファラル採用ですが、メリットばかりではありません。安易に導入して失敗しないよう、デメリットもしっかり把握しておきましょう。
従業員同士の関係に気をつけなければならない
知人同士が一緒に仕事をすることで、緊張感がなくなる可能性があります。そのような馴れ合いの雰囲気が表面に出ることで、お客様や他の従業員に悪影響を与えてしまうかもしれません。また、一人が退職する場合に、他方も追随し同時に退職する可能性もありますので、適度な距離感が保たれるように配慮をしてください。
一方で、紹介した人とされた人は上司・部下や先輩・後輩の関係になります。このことにより、それまでの関係性が崩れないように気を配ることも必要となるでしょう。
不採用時のフォローが必要
リファラル採用では、基準を満たしていなければ不採用となるのが通例です。しかし、紹介した従業員の中には、これを不快に感じる人もいるでしょう。その後の勤務に悪影響を与えないようにするため、不採用とした場合には理由をしっかりと説明することが必要です。
それ以前に、必ず採用するわけではない点を理解してもらっておかなければなりません。
リファラル採用を効果的にする方法
リファラル採用は、現従業員から知人を紹介してもらうだけのシンプルなものです。しかし、良い人材を確度高く採用するにはいくつかの工夫が必要です。ここでは、その方法を紹介します。
紹介報酬を定める
従業員の善意だけに頼っていたのでは、なかなか紹介は集まらないでしょう。モチベーションを上げるための施策が必要で、その一つが紹介報酬を与えることです。
報酬にはいくつかのタイプがありますが、最も広く行われているのが金銭を支給するものでしょう。それ以外にも、品物やお店で使える食事券などを与えることもできます。金額に関しては明確な基準があるわけではありません。求人広告を出した場合の費用などを参考にしながら、お店の事情に合わせるのがよいでしょう。
また、報酬の支払いが確定するタイミングも明確にしておきましょう。紹介された時点や採用時点、採用後一定期間経過後のいずれかにするのが一般的です。後のトラブルとならないよう事前に決めておいてください。
活動費用を支給する
先程の紹介報酬だけでは、紹介が増えないことも考えられます。それは、従業員が紹介相手と直接会って話をするのに費用がかかるため、気がすすまないという場合です。そのような事情で紹介数が減ってしまうのを避けるためには、紹介相手との話を進めるために必要な費用も支給するとよいでしょう。
自店で会って話をする際の飲食代金を支給するなど、コストを抑えつつ従業員に負担がかからないように
支給条件を定めてください。
紹介依頼を常に行う
紹介報酬を定め、活動費用を支給することを決めたら、リファラル採用を促進していることを従業員に徹底させましょう。何度か言った程度では、忘れてしまったり、採用は終わったと思い込んだりするものです。リファラル採用を続けている間は、常に紹介してくれるように依頼を行ってください。
労働環境を整備する
紹介を活発にするためには、労働環境の整備も重要となります。知人にも勧めたい職場だと思ってもらえなければ、紹介には結びつかないからです。逆に、知人に自慢したくなるような環境であれば、自然と紹介につながるはずです。こちらから特にお願いしなくても、従業員自らが紹介したくなるようなお店であることが理想といえるでしょう。
求める人物像を明確に伝える
リファラル採用では、従業員が人材発掘を行うことになります。ですからお店が求める人物像を、できるだけ詳しく伝えておかなければなりません。そうでなければ、お店が希望する人とは異なったタイプの人を紹介されるかもしれないからです。わかっているだろうという期待をせず、しっかりと伝えるようにしていきましょう。
人手不足は、飲食店にとって今後も大きな問題となるでしょう。
したがって、人材を確保するためにはこれまでどおりの求人だけでなく、リファラル採用の促進をするのが効果的です。リファラル採用にはこれまでの採用形態とは異なるメリット・デメリットがあります。これら をふまえて、成果の上がる方法でリファラル採用を進めていくとよいでしょう。従業員不足の心配をせず営業を続けられるよう、しっかり対策をしていってください。